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放射線治療にたずさわっている赤ワインが好きな町医者です。緩和医療や在宅医療、統合医療にも関心があります。仕事上の、医療関係の、趣味や運動の、その他もろもろの随想を不定期に更新する予定です。
 うちの病院で放射線治療計画CTを担当している診療放射線技師さんが、なんと今年秋のRSNA2014に演題アクセプトされました。しかも、筆頭演者(つまり代表者、英語で発表する人)!
 
 おめでとうございます! すげー!!


 RSNA=Radiological Society of North America、和訳だと「北米放射線学会」。世界最大の放射線医学関連の国際学会です。
 毎年 11 月末から 12 月初めに1 週間くらいかけて、すごく寒い(らしい)シカゴで開催されます。世界中の放射線科医、物理士、放射線技師、企業の方々などなど、参加者は例年 6 万人前後にもおよぶ世界を代表する放射線診断系中心の巨大学会です。
 私、実はRSNAに行ったことないので、聞いた話です…そして、もちろん私は今回も日本でお留守番かつお土産待ち(笑)

 世界のRSNA、演題採択のハードルは結構高いらしいです。日本全国の放射線科医も、この学会に演題が採用されると祝賀モードです。
 某大学では毎年の医局同窓会や忘年会で、「今年はRSNAに誰が何で演題採用!」って感じで教授がご挨拶の話題に必ずする、そんな一大イベントです。

 ちなみに放射線治療系だと、米国放射線腫瘍学会(ASTRO)、 欧州放射線腫瘍学会 (ESTRO)が代表的な国際学会です。
 

 見事採択の技師さんですが、実はうちの病院は少し前に中途採用された方です。以前勤務されていた病院の時から頑張っていたというCTの物理系研究発表で今回RSNAに採択されたそうです。
 一般病院で仕事しながら研究も、立派です。

 放射線治療計画CT担当では、なんかもったいない気がする頼りになる技師さん。私も爪の垢を…


 そのうち祝賀宴会しないといけませんね、部長!

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【2014/07/24 20:50】 | 放射線関連
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JIN
本当は引率、いやカバン持ちで同行したいんだけど、時間もお金もないしな…。シカゴで有名なお土産って何だろう?

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 今日は諸事情で某大学の関連病院のお手伝いに行ってきました。そこは某大学がある地域からは少し離れていて、地域医療支援病院、地域災害拠点病院、地域がん診療連携拠点病院といった重要な施設認定を受け、三次救急医療も担い地域住民〇十万人の命を預かる総合病院です。私の大学時代の同級生や部活動などのお知り合いも多数いらっしゃいます。
 もちろん私のお手伝いは放射線治療にかかわることでした。

 その病院の周辺には汎用の放射線治療装置を有する施設がなく、地域〇十万人のがん放射線治療をほぼ一手に背負っている施設でもあります。最近は年間400人以上ものがん患者さんへの放射線治療を請け負っているそうで、その病院の常勤の放射線腫瘍専門の先生は何年も一人で頑張っていらっしゃいます。
 大学などからの診療支援はこれまでもあったとはいえ、やはり一人常勤の先生が背負う部分は大きいものがあります。

 その昔、私も一人放射線腫瘍医を医局人事で何年かしていたことがあるのですが、複数医師が所属する施設や非常勤支援での診療と比べ、常勤一人診療科というのは保険診療上の制限や知識・精神的な負担など結構大変です。逆に一人の気楽さというのもあることはありますが…
 日本放射線腫瘍学会では常勤一人診療科の先生のことを通称「一人医長」と呼んでいて、最近は毎年のようにいろいろな問題に関するシンポジウムも開催されているようです。残念ながら他のセッションと重なって、私はなかなか聴講できていないのですが。

 余計なことを書くと偉い先生方からお叱りを受けそうな気がしますが(?)、一人医長については気が向いたらそのうち触れるかもしれません。


 で、私がお手伝いに上がったその病院では今日もいつものように放射線治療の診療を行っていて、午後からは治療計画CTの予約も何名か入っていました。いつものように治療用CT装置の立ち上げが終わり、いざ患者さんを寝台に上げてCTを撮像しようとしたら突然機械の故障で撮像できなくなりました。
 しばし調整を試みるもどうにもならず、一旦患者さんを寝台から降ろして病棟にお戻りいただき、機器業者さんに連絡して機器を立ち上げて点検し直し。その後、装置が無事動いたので、ようやくのことで撮像できました。ちなみに私は隣で傍観していただけです。

 「これって時々ある現象ですか?」と担当の技師さんにお尋ねしたら、「今回が初めてです」と…

 実はこの病院、あと2か月くらいで新病院に移転することが決まっていて、このCT装置もあと2か月でお役御免となる予定なのだそうです(たぶん、転売されなければ、ですが)。
 これまで10年くらい稼働していて一度も(?)、少なくともここ数年は一度も今日のような故障はなかったのに、よりによって私がお邪魔したその日に…それは置いておいて、とりあえず無事治って何よりでした。


 こういったことって実は少なくありません。というか、私が勤務したいくつかの施設では、ほぼ毎回といっていいほどこれまで頑張っていた装置が機器更新する直前に突然故障で不具合が出ました。不幸中の幸いといいますか、実際に検査や治療をしている時にトラブルが起きるわけでなく、今回のように検査直前に動かなくなったり、機械が朝の立ち上げ時に動かなかったりと。怪我をしてしまうといった重篤な迷惑はかからないのですが(患者さんをしばしお待たせするというのはもちろん迷惑です)。

 迷信的、眉唾ものと思われるかもしれませんが、なぜか本当にこれまで何年も使用していて起きなかったことが機器更新の直前に起きるのです。今日私が居合わせたのはたまたまだと思うのですが、今日担当のベテラン技師さんも同じことをおっしゃっていました。

 装置が使用人に対して最後にダダをこねているというかすねているというか…。パソコンなんかでも同じようなことを経験しませんか?

 導入前や撤去前に魂入れやお清めの酒、お祓いをする施設もありますね。

 私も「万物に魂が宿る」ってやつ、アニミズム(animism)を結構信じてるほうです。
でも、物を大事にしているか?って問われると、正直そんなに自信ありません…(もちろん、私物じゃない放射線装置は大事に扱ってます。修理代も高いし)


 今日は全く根拠のないお話にお付き合いいただき、まことに申し訳ございませんでした。


【2014/04/21 23:31】 | 放射線関連
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 うちの病院にもPETが導入されることになりました。上層部の先生は「長年欲しかった装置が手に入った」とおっしゃっているようです。

 PET(ペット)とは「陽電子放射断層撮影」という意味で、Positron Emission Tomography(ポジトロン・エミッション・トモグラフィー)の略です。
 PET検査はがんを検査する方法の一つ。放射線が出てくるように細工されたがん細胞に取り込まれやすい物質(FDG)を少しだけ静脈注射して、がんなどを発見する手がかりとなる写真を撮影します。

 これまでうちの病院では、電話などで予約し院外紹介状を作成して、他の病院でPET検査を受けていただいていました。わざわざ出向いて検査を受けなければならない患者さんはもちろん、我々もいろいろ手間暇をかける必要があったのですが、ようやくがん患者さんの初診時全身検査や治療後の再発チェックに有力な武器が院内で使えるようになります!がん検診にも利用できますね。
 放射線治療計画で利用できるような設定も頼んでます。


 ところで、前回のブログで犬の軟膏のことを話題にしましたが、犬・猫に代表される愛玩動物のこともPETといいますね。

 数年前のことになりますが、神奈川県の川崎市にある日本動物高度医療センターでPET(愛玩動物)に放射線治療を実施している現場を見学させていただいたことがあります。人間に使用する高精度な放射線治療計画装置やライナック(リニアックでもOK:笑)が設置されていて、毎回の放射線治療に数名の獣医師が関わって全身麻酔下で大がかりな放射線治療を行っていた光景にとてもびっくりしたものでした。
 (麻酔はかけられませんが)「将来、私の転職先の一つになるかも?」って冗談半分に思ったものでした。そしたらその後、本当に定年退職されたあと動物病院に再就職された先輩某放射線腫瘍医がいるとの噂を耳にしました…

 当時、日本動物高度医療センター川崎さんですら動物へのPET検査は行われていませんでしたが、「近い将来、導入予定」とは伺っていました。病院HPを拝見すると、今はPET検査を実施されているようですね。
 普通の動物病院レベルではまだPET検査は普及していないようですが(高精度な放射線治療もしかり)、今後は地方の動物病院にも少しずつ設置されようになるかもしれません。まさか、うちの犬の検診で飼い主の私より先にPET検査、なんてことは…?


 しかしPETにPET、すごい時代になったものです。

 そのうちPETに粒子線治療、なんてことも。人間様と同額の実費300万円で!?
まあ、動物実験ではすでに粒子線治療を行ってますけどね。


【2013/09/08 06:59】 | 放射線関連
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