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放射線治療にたずさわっている赤ワインが好きな町医者です。緩和医療や在宅医療、統合医療にも関心があります。仕事上の、医療関係の、趣味や運動の、その他もろもろの随想を不定期に更新する予定です。
 一昨日、うちの病棟の送別会がありました。今回は存在そのものが大きい方々ばかりの異動で現場的には正直痛手なのですが、送別される方々のお話を聞くと皆さん自分の意志で思う所あっての新天地への前向きな異動とのこと。残念ではありますが、気持ちよく送り出せる宴でした。


 自分がやりたいことをしに新たな職場へ移れるというのは素敵なことです。「好きこそものの上手なれ」。人は好きなことには時間を忘れ、苦労も苦労と思わないもの。もちろん、慣れた環境を変えるのは、自分の思い描いていたことと異なる部分がいろいろ出てきてストレスや困難を伴うことでしょうが、自己向上や夢実現などにつながる可能性が高くなるでしょうし、一度しかない人生。チャレンジできるなら、やるべきなのでしょう。 
 他人事ではいけません…

 とはいえ、この時世。自分がやってみたい、あるいは行ってみたい他の分野に仕事で異動できるというのはなかなかないことかもしれません。リストラなどで職探しを余儀なくされる方も多くいらっしゃいますし。
 お金や場所や業務内容にさほどこだわらなければ、医療分野というのは比較的それが可能な恵まれた業界だと個人的には思います。国家資格さえあれば、同業なら職を失うリスクはまずありません。

 今回の異動では、病院から離れて介護施設に行かれる方や別系の看護がしたくて他施設再就職を考えられている方、同じ院内ですが他の診療科の希望が叶った方、などがおられました。
 また、私のお知り合いで今年度に限定しても、勤務医から独立開業される先生、今の診療科が自分に向いてないという理由(?)でトラバーユされる先生、病院上層部と方針があわず叩きつけるように辞表を提出されて他の病院へ移籍される先生、医局人事に納得いかず無断退職される先生、などなど。

 以前のことですが、私のお知り合いで当時たしか50才を過ぎてから全く別の診療科に移られた先生がいました。もちろんその診療科での経験は乏しく専門医資格もお持ちでいらっしゃらなかったはずですが、公務員であったため役職はそのままで異動ができたそうです。異動時はたしか科長か部長クラスだったはず。
 経験値は研修医レベルなのに待遇や給与はそのままで勤務医、さすが公務員の人事異動!とも思った記憶があります。

 また、基礎系(実験中心で患者さんを診ていたわけではない)の先生が定年退職されて、老健施設に臨床医として再就職なさった方もいらっしゃいます。もちろん医師免許ですから法的にはなんら問題ないのですが、定年してから臨床医になるというのは少し意外な気分でした。

 医療を取り巻く製薬や医療機器業界でも、より良き条件を求めて(?)の異動が頻繁にあるようです。ごく最近までライバルだったはずの会社に電撃移籍された営業の方が今や自社となった放射線治療装置のパンフレットを持って宣伝に来られた時などは、いささか面喰うこともあります。「おや、ついこの前まで別の装置のほうが良いですってプレゼンされていたはずなのに」って。
 
 結構何でもあり。これも「医療の常識、世間の非常識」ってやつに当てはまります?


 今回の送別会は、いつも頼れるナースマンが意外に涙腺弱いということを知ったり、某お医者さんたちのいろいろな裏事情を聞かされたりと、話題豊富で個人的には久しぶりに大変おもしろかったです。ブログネタも仕入れましたし、参加して良かった(笑)

 ヨリコさん、うちのJOYさんたちといっしょにまた飲みに行きましょう!


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【2014/03/27 21:54】 | 医療全般
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 先日、静岡がんセンター緩和医療科の大坂巌先生による特別講演「フェンタニルレスキュー製剤による突出痛治療」を拝聴する機会がありました。
 レスキュー製剤とは一過性の痛み増強に対して使用する短時間作用型麻薬のことで、フェンタニルレスキュー製剤は海外ではすでに多くの国で臨床使用されていましたが国内でも最近ようやく認可されました。

 大坂先生のご講演は、がんの突出痛(BTcP)について最新の知見がふんだんに盛り込まれ大変整理された内容でとても勉強になりました。ご講演内容について(私なりの)簡易要約を自分用の備忘録として『 』に記録させていただきます。
 スライド全部まるまるコピペではありませんよ!

 『BTcPは10分以内にピークに達することが多く、1時間程度で自然に収まることが多い。従来のレスキュー(モルヒネやオキシコドンなどのあへん系麻薬)は効果発現が遅く眠気などが遷延する。最近ようやく国内承認されたフェンタニルレスキュー製剤は効果発現が早い、眠気・便秘などの副作用が起きにくい、消化器系通過障害や注射に難があるなどの(=飲めなくてもOKな)患者さんで有用である。』
 ただ、投与量の調整(=ベース量とレスキュー有効容量は相関しない)や閾値(=眠気と呼吸抑制の間)の狭さといった使用にあたっての難しさもあるようで、『患者選択は適切に行う必要がある』とも。

 前回紹介した照射そのものによる「意図的BTcP」というのは、(私が書くのもなんですが)やっかいな副作用(?)です。毎回の放射線治療というのは事前におよその治療時間が決まっていて、照射30分くらい前にレスキューを使用していただくのが通常かと思うのですが、(本当はあってはならないのでしょうが)多忙な現場で連絡するタイミングがうまくあわなかったりすると適切な鎮痛効果が現れる前にBTcPを誘発してしまうおそれがあります。
 その点、フェンタニルレスキューは効果発現の速さや投与法の利便性など、放射線治療時にも役立ちそうに思います。私はまだ実際に使用したことはないので、とりあえず慣れるまでうちの緩和ケアチームを積極活用させていただこうと考えています。

 一番の(?)問題はお値段が高いことかも?一番安くても痛み止め1回分の薬価が600円くらいするそうです(3割負担で200円くらい)。しかし、麻薬って総じて高価ですよね…
 WHOはがんの痛みに対する麻薬の積極的投与を推奨してますが、価格も何とかならないものでしょうか?関係各位への謝礼も含めた研究・開発費にどれだけお金がかかっているのだろう?ってつい妙な勘繰りをいれてしまいたくなります。

 外来でレスキューを処方する時など、きちんとお値段のことも相談しないと「びっくりした。なんで値段が高い薬ってきちんと説明してくれなかったの?」と苦情を申し立てられるかもしれません。

 カイトリルと同じです。


 どうでもいいことですが(?)、正式にはレスキュー「ドース」(Rescue dose)と読むそうです。数日前にも製薬会社さんから薬の説明を受けたのですが、そこでは「ドーズ」って明記されてました(MRさんに教えておきました:笑)。もちろん日本緩和医療学会のThe PEACE Projectテキストでは「ドース」になってました。

 ま、現場で意味が通じれば別にいいのでしょうけど…(どこかで書きました?)


【2014/03/22 23:32】 | 緩和的放射線治療
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 がんの骨転移に対する緩和照射は、全体の約7割の方に痛みを和らげる効果がみられ、また約3割の方の痛みを無くすことができると報告されています(多くの臨床試験がでていますが、ここでは引用省略)。
 また、病的骨折を防ぐ効果や、神経などががんで圧迫された部分のしびれやマヒを楽にする効果などにも有効なことがあります。

 そしてなにより痛み止めの薬と違うのは、照射である程度『腫瘍そのものを抑え込む』点、そして主治医側から見たらがんが完治せず根本的ではない局所治療(≒意味がない)と判断されていてもがん患者さんにとっては『治している実感が得られる』点です。
 いろいろな不安や落ち込みを抱えておられるがん患者さんにとって、生存率などの臨床試験成績というお医者さんたちが大好きな科学的根拠や確率統計学よりもずっと大切な部分だと思います。


 でもその一方で、今苦しまれている骨転移のつらい痛みを「いずれ」やわらげる(照射の除痛効果は通常数週してから現れます)ための毎回の照射そのものが、無理に身体を動かしたり別の体位にしたりという不自然で意図的な「がんの突出痛(Breakthrogh cancer pain: BTcP)」を誘発することでかえって苦痛を増やしてしまうという残念な矛盾を生じてしまうことがあります。
 ちなみに、BTcPとは、麻薬定時投与によって持続する痛みが適切にコントロールされている患者さんに発生する一過性の痛みの増強のことだそうです(Caraceni A, et al. Lancet Oncol 2012)。

 一般的な日々の放射線治療では、照射の正確性や安定性を保つため、まず患者さんが平らな寝台の上に仰向けまたはうつ伏せで横になり、身体の皮膚などにつけた印と装置の位置を合わせてから、実際の照射となります。
 普段は痛みで動くのがしんどいため自分にとって楽な格好で横になっている患者さんを放射線治療の準備室に連れて行き狭い幅のCTやX線透視の寝台に移動(BTcP最初の関門)、しばらくじっとしながら位置決め撮影後は再びベッドなどに身体を移動し(次の関門)、準備ができて除痛緩和照射をする際にもやっぱりまた治療装置の寝台に移動して数分間以上も安静を保った上に終わったらまたベッドなどに移動して、病室へ戻ります(最終関門は合計照射回数により、1回から10回以上のことも)。

 もちろん可能な限り楽な体位設定にしたり、即効性麻薬鎮痛剤(レスキュードース)を予防的に事前投与したりと、たいていの医療者もいろいろ考慮するわけですが、痛み止め薬剤の指示も主治医によってまちまちであったりして日々の一連の照射の開始から終了までの間のBTcPがうまくコントロールつかなかったりすることも時にあり…

 また、放射線装置の寝台の幅が狭かったり、狭い口径のCTでしか治療計画準備ができなかったりする場合などでは、半坐位(ギャッジベッド等で上半身を30~45度程起こした姿勢)はもちろん側臥位設定すら困難をきたしBTcPを誘発する無理な仰臥位にせざるを得ないケースもあります。
 呼吸困難で半坐位や起坐位(ギャッジベッド等で上半身を90度程起こした姿勢)でないとつらい肺がんの患者さんに対する放射線治療の時なども同様の問題を抱えていて、現実問題として対応に苦慮している施設は少なからずあると思います。

 最近になって大口径の治療計画CTが普及し始め(多少の)半坐位での撮影も何とか可能になってきましたが、まだ起坐位は無理です。
 X線シミュレータという昔ながらのX線透視を用いた簡易放射線治療準備装置を使えば、半坐位や起坐位、場合によっては立位での治療準備も可能なのですが、実は最近X線シミュレータは全国的に設置されていない(というか場所がなくてCTシミュレータに置き換わってしまった)施設が少なくありません。

 X線シミュレータって呼吸性移動など身体の動きがリアルに確認できるし、使い方によっては凄く便利な装置なのですけどね。うちの病院では最近ようやく大口径CTが導入されましたが、X線シミュレータもまだ活躍しています(ちなみに呼吸性移動の確認用が主です)。


 本当は、坐位でも立位でもいいから照射そのものの苦痛ができるだけなくなるよう、余計な身体の移動や不必要なBTcPができるだけなく済む工夫ができれば一番良いんだけどなぁ…


(続きます)

【2014/03/17 22:54】 | 緩和的放射線治療
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 緩和ケア領域でもアカシジアの出やすい薬は多数あります。抗うつ剤とか抗精神病薬とか麻薬系鎮痛剤とか。前回も書きましたが、不眠や徘徊や不穏の原因にもなりうるものらしいです。
 「がんだから」とか「高齢だから」とかと決めつけないほうがいいみたいです。薬の影響って意外にありますから。自省を込めて、です…

 専門でない私が書くのも大変恐縮なのですが、さすが緩和ケア科の先生方はみなさんアカシジアをよくご存知です。

 一方、一般診療科の先生方は言葉を聞いたことはあっても、アカシジア(を含めた錐体外路症状)をさほど意識せずに「がんの症状だから」とか「抗がん剤の副作用だから」と思い込んでいるケースって実は少なくないかもしれません(確固たる根拠はありません)。
 まあ私もそんなおバカ臨床医だった(過去形にさせてください…)わけですが、自分がアカシジア様症状を呈して以降は、「たかがプリンぺラン、されどプリンぺラン」と意識するようになりました。

 が、その後もプリンぺランやノバミンの錠剤内服で明らかなアカシジアを疑う症例を私は経験したことはありません。私と同様にプリンぺラン注射剤で数例アカシジアを疑う症例は何例かいましたが。(偉そうに書きましたが)もし夜間不眠などで見逃している症例があったらごめんなさい。
 だから個人的にはプリンぺランの注射はそんなに好きじゃありません。筋注は2mlで量が多くて痛いし…。もちろん吐き気はとてもつらいので、必要なら処方いたします。


 抗がん剤ほどの頻度ではないものの、放射線治療の時も放射線宿酔で吐き気をもよおす方が時にいらっしゃいます。

 放射線宿酔については、「国立がん研究センターがん対策情報センターHP 放射線治療を受ける方へ」に『消化器への照射以外の場合でも、照射開始後数日間に食欲低下や嘔気・嘔吐が出現する場合もありますが、出現頻度としてはまれです。放射線宿酔の場合は、通常2~3日で症状は軽快します。』との説明が掲載されています。

 なぜ放射線治療初期に放射線宿酔が起きやすいのかはっきりしたことは証明されていませんが、放射線治療に伴う過酸化物質やアレルギー物質の発生が関係しているのでは?という推測もされているようです。

 抗がん剤と同様に放射線宿酔は、以前はプリンぺランやノバミンでの吐き気対策が中心でした。
 最近になって抗がん剤の吐き気止めに大変効果のあるカイトリル(一般名グラニセトロン)というお薬が「放射線照射に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」についても国が投与を承認しました。
 これって、他科の先生方にはまだ充分知れわたっていないですか?
 
 実際の所、放射線宿酔が出現する頻度というのはそう多くないので、照射範囲が広い患者さんや以前放射線宿酔を経験したことのある患者さん以外に、放射線宿酔予防に最初からカイトリルを投与する医者はあまりいないかもしれません(少なくとも私の知っている範囲ですが)。
 たいていは軽い吐き気の症状が出てから処方をする(と思っている)のですが、実はカイトリルって結構高価です。プリンぺランの100倍くらいします。以前、同僚の先生が外来でカイトリル錠を数日分(?)処方した時のお会計伝票をみた患者さんから「びっくりした。なんでお値段が高い薬ってきちんと説明してくれなかったの?」と苦情を申し立てられたことがありました。
 なので、やっぱり安価なプリンぺラン錠を出す場合もそれなりにあります。ただ、凄く効く人ってそんなに多くない…気がするんですけど、どうですか?

 ちなみにカイトリルがアカシジアの症状をきたすことは(まず)ないらしいです。


 (どうでもいいことですが)私のことを書くと、自分の二日酔いに対してもプリンぺラン錠が明らかに効いたことはありません。自分に注射したのはあの時だけです。薬が効かない体質なのか、「そもそも」の問題なのか?
 五苓散、柴苓湯、因陳五苓散、など漢方薬が二日酔いに効果的なこともあるようですが、個人的には五十歩百歩かな。ウコンもシジミもカプサイシンも何度か試したことはあります…
 カイトリルは抗がん剤も照射もしていないから保険適応がありませんし。でも、はたして(私の)二日酔いに効くのだろうか?

 そういえば先日、『「どんなに二日酔いがつらくても人は結局また酒を飲む!!」との米大学調査結果』という記事を目にしました。つらい二日酔いは次の飲酒の機会に対し、ごくごく控えめにしか影響しないことがわかったそうです。
http://irorio.jp/sousuke/20140305/118045/

 なるほど~! わかっていても同じことを繰り返すのは、ただのおバカってことでしょうね。どうも私のまわりには少なくないようです…

 類は友を呼ぶ、ですか?


 ということで、タイトルの「アカシジアと放射線宿酔」、つながりはほとんどなかったですね。共通項はプリンぺランってだけでした。

 マ イーヤー ソンもしてないし…どうも、失礼いたしました。


【2014/03/09 22:16】 | 放射線治療と薬
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カリメロ
プリンペラン錠剤のんでアカシジアがでたことあります!



JIN
カリメロさん、なるほど、プリンぺラン錠でもやっぱり起きるんですね…貴重な体験談をありがとうございます(返信遅くなり申し訳ございません)。
気をつけねば!

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 先日、地元のサイコオンコロジー研究会に参加し、某病院緩和科の先生が薬によるアカシジアの症例報告をなさっていました。YouTubeで公開されている海外の患者さんの典型的な症状を撮影した動画も供覧いただき、大変参考になりました。
 

 アカシジア…静座不能症と訳されています。アカシジアなんて聞いたこともないって方、ごめんなさい。

 精神科系の薬(とりわけ抗精神病薬)の服用中に起こることのある副作用で有名ですが、がん患者さんの吐き気止めとしてよく使う(そして夜間や休日などの臨時指示としても普通に第1選択にする)プリンぺラン(メトクロプラミド)やノバミン(プロクロルペラジン)という薬でも起こることがあります。
 座ったままでじっとしていられず、そわそわと動き回るという特徴があるそうです。不眠や徘徊(はいかい)の原因の一つでもあるそうです。

 平成22年に厚生労働省から「重篤副作用疾患別対応マニュアル アカシジア」ってPDFファイルが出ています。29ページもありますが、私が下手な解説をせずとも大変詳しくかつわかりやすく説明されています。他の鑑別なども書いてありますし、特に(詳しく知らない)医療従事者にはご一読をお勧めです。
http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1j09.pdf
 
 日本緩和医療学会のPEACE PROJECT(緩和ケア継続教育プログラム)の緩和ケア研修会資料スライドにもアカシジアについて触れられていますが、ここまで詳しくはありません。

 アカシジアの診断の一つにマイヤーソン徴候というのがあります。私は神経内科医ではないので(笑)、参考までにWikipediaの記事を改変して以下引用しておきます…文責はとれませんので、真面目な先生は教科書なりを見直してください。
 『眉間をハンマーや指で軽く叩くと、正常では両側眼輪筋の収縮(まばたきのこと)が起こる。これを眉間反射(glabellar reflex)という。これを何度も行ううちに眼輪筋の収縮は弱くなり、数回のうちに収縮しなくなるのが正常の反応である。アカシジア(やパーキンソン病など)の場合はこの反射が亢進し、何度叩いても瞬目が起こるようになる。これをマイヤーソン徴候と呼ぶ。』
 結構簡単な検査ですが、患者さん自身ではなく、患者さんに見えないように他人が眉間を軽くトントンと叩くことがポイントらしいです。

 
 その昔、抗がん剤に対する吐き気止めはプリンぺランとかノバミンの大量投与(+ステロイド)くらいしかなかったため、医療者がアカシジアを経験する機会はそれなりにあったようです。それをアカシジアの症状と知っていたかどうかは別として。残念ながら、肝心の吐き気にはそれほど効果がありませんでした。
 最近は他の強力な吐き気止めがいろいろ出てきたので、プリンぺランの大量投与をする機会は(おそらく)なくなりましたね。

 でも実は、少量投与でも点滴静注後などでアカシジアの症状に出くわす可能性があります(前述の厚労省マニュアルにも書いてあります)。

 私も以前、脱水と吐き気がひどく仕事に支障が出るということでプリンぺランを混ぜた点滴をしている最中に、急性のアカシジアが強く疑われる症例を経験したことがあります。


 たかが田舎の放射線腫瘍医なのになんでアカシジアをわざわざここまで書くかといいますと、実はその症例って私だったからなのです…。前夜の飲酒後の胃腸症状がひどく、(仕事が進まず?)みかねた上司が私のために処置してくださった時のことでした。

 プリンぺラン入りの点滴の最中に急に身体全体の皮膚がサワサワしてきて、「身の置き所がない」という異常感がありました。あまりに気持ちが悪くて上司に内緒で点滴を勝手に自己抜去してしまいました。


 なんとも不良患者の典型例でした…


(長いので、また次回に。いつものことですがタイトルと内容の不一致、申し訳ございません)


【2014/03/08 21:31】 | 放射線治療と薬
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