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放射線治療にたずさわっている赤ワインが好きな町医者です。緩和医療や在宅医療、統合医療にも関心があります。仕事上の、医療関係の、趣味や運動の、その他もろもろの随想を不定期に更新する予定です。
 私事で恐縮ですが、本日で誕生半世紀を迎えました。

 正直、なんだかあっという間という気持ちと、まさかこの齢を迎えるとはという気持ち半々です。周囲の方々のご支援のおかげでここまで生きてこられたことに改めて感謝いたします。


 医者というのは死を身近に感じる機会が多い因果な職業とはいえ、自分より年下の患者さんの他界を目の当たりにしたり、同級生や後輩の不幸を耳にしたりと、(語弊ある表現なのかもしれませんが)齢を重ねるごとに身につまされることがだんだん多くなってまいりました。

 人生半世紀を迎えるにあたり、これまでの反省期と認識し、いろいろな半生記をこのブログでも振り返り、残り半世紀の人生に活かしていきたいと思います。
 月並みですが、普通に生活できていることの幸せを感じつつ、できれば少しでも人様のお役に立てるよう、これからも毎日を大事に大切にしたいと思います。

 102歳の今もお元気に各地を飛び回っておられる日野原重明先生の半分も生きておりませんし、これからも自分なりに無理せず頑張ります。


 たわいもない独り言にお付き合いいただき、大変失礼いたしました。記念日ということでどうぞ大目に見てくださいませ。

 今後ともよろしくお願い申し上げます。


 さてと、「大人の休日倶楽部」に入会するとするか。

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【2014/04/28 23:22】 | 普通の日記
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 今日は諸事情で某大学の関連病院のお手伝いに行ってきました。そこは某大学がある地域からは少し離れていて、地域医療支援病院、地域災害拠点病院、地域がん診療連携拠点病院といった重要な施設認定を受け、三次救急医療も担い地域住民〇十万人の命を預かる総合病院です。私の大学時代の同級生や部活動などのお知り合いも多数いらっしゃいます。
 もちろん私のお手伝いは放射線治療にかかわることでした。

 その病院の周辺には汎用の放射線治療装置を有する施設がなく、地域〇十万人のがん放射線治療をほぼ一手に背負っている施設でもあります。最近は年間400人以上ものがん患者さんへの放射線治療を請け負っているそうで、その病院の常勤の放射線腫瘍専門の先生は何年も一人で頑張っていらっしゃいます。
 大学などからの診療支援はこれまでもあったとはいえ、やはり一人常勤の先生が背負う部分は大きいものがあります。

 その昔、私も一人放射線腫瘍医を医局人事で何年かしていたことがあるのですが、複数医師が所属する施設や非常勤支援での診療と比べ、常勤一人診療科というのは保険診療上の制限や知識・精神的な負担など結構大変です。逆に一人の気楽さというのもあることはありますが…
 日本放射線腫瘍学会では常勤一人診療科の先生のことを通称「一人医長」と呼んでいて、最近は毎年のようにいろいろな問題に関するシンポジウムも開催されているようです。残念ながら他のセッションと重なって、私はなかなか聴講できていないのですが。

 余計なことを書くと偉い先生方からお叱りを受けそうな気がしますが(?)、一人医長については気が向いたらそのうち触れるかもしれません。


 で、私がお手伝いに上がったその病院では今日もいつものように放射線治療の診療を行っていて、午後からは治療計画CTの予約も何名か入っていました。いつものように治療用CT装置の立ち上げが終わり、いざ患者さんを寝台に上げてCTを撮像しようとしたら突然機械の故障で撮像できなくなりました。
 しばし調整を試みるもどうにもならず、一旦患者さんを寝台から降ろして病棟にお戻りいただき、機器業者さんに連絡して機器を立ち上げて点検し直し。その後、装置が無事動いたので、ようやくのことで撮像できました。ちなみに私は隣で傍観していただけです。

 「これって時々ある現象ですか?」と担当の技師さんにお尋ねしたら、「今回が初めてです」と…

 実はこの病院、あと2か月くらいで新病院に移転することが決まっていて、このCT装置もあと2か月でお役御免となる予定なのだそうです(たぶん、転売されなければ、ですが)。
 これまで10年くらい稼働していて一度も(?)、少なくともここ数年は一度も今日のような故障はなかったのに、よりによって私がお邪魔したその日に…それは置いておいて、とりあえず無事治って何よりでした。


 こういったことって実は少なくありません。というか、私が勤務したいくつかの施設では、ほぼ毎回といっていいほどこれまで頑張っていた装置が機器更新する直前に突然故障で不具合が出ました。不幸中の幸いといいますか、実際に検査や治療をしている時にトラブルが起きるわけでなく、今回のように検査直前に動かなくなったり、機械が朝の立ち上げ時に動かなかったりと。怪我をしてしまうといった重篤な迷惑はかからないのですが(患者さんをしばしお待たせするというのはもちろん迷惑です)。

 迷信的、眉唾ものと思われるかもしれませんが、なぜか本当にこれまで何年も使用していて起きなかったことが機器更新の直前に起きるのです。今日私が居合わせたのはたまたまだと思うのですが、今日担当のベテラン技師さんも同じことをおっしゃっていました。

 装置が使用人に対して最後にダダをこねているというかすねているというか…。パソコンなんかでも同じようなことを経験しませんか?

 導入前や撤去前に魂入れやお清めの酒、お祓いをする施設もありますね。

 私も「万物に魂が宿る」ってやつ、アニミズム(animism)を結構信じてるほうです。
でも、物を大事にしているか?って問われると、正直そんなに自信ありません…(もちろん、私物じゃない放射線装置は大事に扱ってます。修理代も高いし)


 今日は全く根拠のないお話にお付き合いいただき、まことに申し訳ございませんでした。


【2014/04/21 23:31】 | 放射線関連
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 今週10日から、パシフィコ横浜で第73回日本医学放射線学会総会が開催されています。日本放射線技術学会や日本医学物理学会との合同学術大会で、多数の放射線関連機器展示などもあり、例年何千人も参加する日本で一番大規模な放射線医療系の学会です。
 私は今日までの参加でした(学会そのものは明日まで)。

 そして今朝は、学会総会の併催企画として開催された「チャリティイベント Run&Walk」にも参加してきました。朝7時少し前にスタートし、学会場があるみなとみらい地区の観光名所を巡る5kmまたは3kmのRun、または3kmのWalkするイベントで、参加費の一部はいろいろな支援活動に寄付されるそうです。私は5kmのRun。

 走る前には、特別ゲストのオリンピック女子マラソンメダリスト有森裕子さんを中心に、ご高名な放射線腫瘍学の先生方とご一緒に(後ろにひっそり立って)記念写真も撮影しました。

 このRunイベント、学会としては初めての企画だったでしょうか?


 全国の放射線科には、結構ガチで走っておられるお医者さんが少なくありません。フルマラソンでサブ4(4時間切り)しちゃう重鎮の教授先生方とか、サブ3(3時間切り)という元気な強者の先生方とか。
 今朝のRunにもパワフルな重鎮の先生方が何人か参加なさっていました。

 私の同級生に富士山のまわりを二日間170km近くも走り続ける(TVでも特集されるUTMFっていう有名な大会)とんでもない弁護士さんがいるのですが、彼が前に「医者ってマラソン走っている人が多いよね。」と言ってました。

 他の診療科でも私のまわりには走っているお医者さんって結構います。医者ってストイックというかマニアックというか負けん気が強いっていうか、そんな人多いですからね。


 で、今朝ですが、「大会でもないし、早朝だし、まあゆっくりでいいか~」と当初は思っていたのですが、いざスタートみると場の雰囲気に乗せられてしまい、いつもより少し早めのペースに。そのせいか途中で少し腹痛があったのですが、持ち直して無事5km完走できました。
 ちなみに重鎮の教授方は私のはるか前へ…速いっす。


 一昨年、日本放射線腫瘍学会学術大会(=放射線治療分野の全国学会)でも学会初の企画として早朝皇居5kmRunというのがありました。「初めて」開催されるということで(そして、あまりに増えすぎた体重を何とかせねばと思っていたので)、私も10年近くぶりにゆっくり走る練習をはじめ、その成果がでて何とか皇居1周Runできました。
 その後も通勤途中Runするなど、予想外に(Facebookなどで自分を刺激しながら)ぼちぼち継続できていて、去年末にはおかげさまでハーフマラソン完走することもできました。

 そういえば、以前に京都市内を少し走ったこともブログにしましたね。


 実は、学会初日の夜(つまり一昨日)、親しい同学年のお知り合いと久しぶりに再会し、調子に乗ってしまった影響で、2日目朝の30分もの(めったに私に依頼など来ない)ミニ講演はいささかしんどい状態で臨まなければいけませんでした。振り返ると、反省多々の口演だったような気がします。
 自己のリスク管理能力を問われると、言い訳できません。ご聴講くださった諸先生方、本当に申し訳ございません。
 
 ということで、昨夜はRunに備え控えて行動しました(つもりです)。それでも〇日酔いは完全には抜けきってなかったのですが…

 リスクといえば、今日午後にあった学会特別企画「行列のできる医療法律相談所」(あの北村弁護士とフリーアナの松本志のぶさんもご出演)は面白かったし勉強になりました。

 そして帰りの電車は熟睡できました。(記憶のある限り)学会中は寝てません。


 来年以降も早朝Run企画があったら参加しよ


 

【2014/04/12 21:08】 | ラン・運動
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 4月からうちの病院に放射線治療担当の新人医学物理士さんが1人着任しました。

 なんと医学物理士さん2人体制となります!しかも、2人とも診療放射線技師兼務ではなく、医学物理士「専従」です。うちの病院の組織図では医師や診療放射線技師とは別に独立した医療安全管理部の所属となります。
注:専従=就業時間の少なくとも8割以上、当該療法に従事していること

 昨年度、医学物理士常勤増員枠についてご理解・ご尽力いただきました上層部の先生方、事務系の担当者の方々、この場をお借りして改めて御礼申し上げます。


 医学物理士とは、『放射線を用いた医療が適切に実施されるよう、医学物理学の専門家としての観点から貢献する医療職のことです。(京都大学医学部放射線治療科さんのHPから引用)』

 欧米の放射線治療業務の現場では、放射線腫瘍医は治療範囲や放射線量の決定(と大事な患者さんの診察)を行い、放射線治療計画の作成や検証は医学物理士さんが、そして毎日の照射は診療放射線技師さんが担当する、というのが一般的のようです。医者が「ここにあるがんにこのくらいの量を照射してね」とお願いし、医学物理士さんがコンピュータで最適なシミュレーションを作ってくださったのを医者と一緒に「これがいいね」って確認し、放射線技師さんが患者さんにばっちり正確に毎日放射線をあてていただき、医者や看護師さんが「体調はいかがですか?」と定期的に診察、といった感じでチーム診療を行います。
 特にIMRT(強度変調放射線治療)や定位放射線治療といった高精度放射線治療は専門職種としての医学物理士さんの存在なくして実施してはダメ、と書いても過言ではありません(ですよね?)。私もすっかり頼りにしています。

 でも日本では医学物理士さんが行うべき業務を、放射線腫瘍医や診療放射線技師さんたちが兼務している施設がまだまだ多いのが現状だと思います。過重労働の面でもこのような職場環境は好ましくないのですが、いろいろな課題があり、なかなか…


 医学物理士発祥の地アメリカでは、医者と対等に共に放射線治療計画内容を検討しあう、医療の本質にかかわる重要な役割・責務を担っているそうなので、待遇面(≒収入)も良いらしいです。中には独立開業して多施設の放射線治療検証を(遠隔などで)支援している方々もいらっしゃいます。また、放射線治療分野の医療機器系の研究・開発も医学物理士さんたちが中心になって、いろいろな最先端放射線治療技術を世に送り出しています。

 残念ながら日本では医学物理士はまだ国家資格にはなっていません。医学物理士認定機構など専門家の諸先生方のご尽力により諸外国同様に修士以上の学位保持者に受験資格が引き上げられ、健保委員の諸先生方のご尽力により病院の診療報酬上も優遇されるようになってきて、徐々にその立場や存在価値は認知されてきています。でも、いざ病院常勤枠での雇用となると、特に公的機関では「前例がない」というお役所側の決まり文句が厚い壁として立ちはばかります。他の交渉事でもよくあることですが…
 うちの施設ではその厚い壁をご理解ある上層部の先生方のおかげで見事に打ち破れました(3年くらい前)。そして今回は「常勤増員枠」を新たに獲得していただきました。
 本当にありがとうございます。

 ついでに書くと、ポストだけでなく待遇面(≒お給料)でも「前例がない」という壁があります。(諸事情で具体的には書けませんが)これはうちではまだ解決しきれていない案件です。
 しかし先日、某有名公的病院では医学物理士さんとしての別枠給与体系を確立されたという耳寄り情報を知りました。私もお知り合いになれた先生方が診療されている病院ですので、今後の待遇改善のためにその辺のお話はいずれゆっくりお伺いしたいな~と思っております。
 できればプロ野球観戦でもしながら…


 専従の新人医学物理士さん、うちの病院へようこそ!

 より安全で安心な、そしてがん患者さんにとって心身とも優しい良質な放射線治療をご提供できるよう、ともに精進いたしましょう。


(今回の投稿はJASTRO Newsletter vol.108「病院における医学物理士のポストについて」を参考・一部引用させていただきました)



【2014/04/04 20:02】 | 放射線治療:一般
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