今日は息子の誕生日、あの阪神大震災の2日後にこの世に生を受けました。
阪神大震災の瞬間、当時臨月の妻は震源から遠く離れた自宅で「今、揺れたよね?」と。揺れを全く感じなかった私が寝ぼけながら「揺れてないでしょ?」と言っているにもかかわらず気になった妻がTVをつけたら、大変なことに…
この場をお借りして、改めて多くの犠牲者のご冥福をお祈りいたします。
今は一人暮らしをしていて別居中ですが、(きっとあまり飲めないであろう)息子もついに20歳。晴れて親子で杯を交わせるようになったことは感慨深く、また先日無事に成人式を迎えられたことに感謝したいと思います。
20年の月日、いろいろありましたが今思うと早いものです。
阪神大震災の2年後に生を受けた次女は昨日までセンター試験。実は長女も大学生。みんな大きくなりました。そしてわがままなお父さんは、実は来年からのおこずかいがちょっと気になってます。
私も妻も四捨五入で50歳。まだまだこれから楽しく頑張ります。
阪神大震災の瞬間、当時臨月の妻は震源から遠く離れた自宅で「今、揺れたよね?」と。揺れを全く感じなかった私が寝ぼけながら「揺れてないでしょ?」と言っているにもかかわらず気になった妻がTVをつけたら、大変なことに…
この場をお借りして、改めて多くの犠牲者のご冥福をお祈りいたします。
今は一人暮らしをしていて別居中ですが、(きっとあまり飲めないであろう)息子もついに20歳。晴れて親子で杯を交わせるようになったことは感慨深く、また先日無事に成人式を迎えられたことに感謝したいと思います。
20年の月日、いろいろありましたが今思うと早いものです。
阪神大震災の2年後に生を受けた次女は昨日までセンター試験。実は長女も大学生。みんな大きくなりました。そしてわがままなお父さんは、実は来年からのおこずかいがちょっと気になってます。
私も妻も四捨五入で50歳。まだまだこれから楽しく頑張ります。
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G-CSF適正使用ガイドラインで「推奨グレードD:放射線同時併用化学療法施行時、縦隔領域が照射内に含まれる場合は、G-CSF使用は推奨されない」としている根拠の論文はたった一編です(+1992年ASCO発表要約で未論文化報告の計2つ)。1995年に発表された小細胞肺がんSWOG第III相試験の230例で、しかも使用されたのは国内未承認薬GM-CSF製剤、縦隔に化学放射線療法したら「血小板が減少」したという内容でした。
Bunn, et al. JCO 1995; 13: 1632-41
ASCOガイドライン2004&2006でも「G-CSFと化学放射線療法同時併用は避けるべき」となっていたのですが、これも同じ報告をよりどころにしているようです。
縦隔照射でなくても特に抗がん剤と併用した場合では血小板は減少することがあります。骨盤照射のほうが照射範囲や骨髄機能的には影響が大きいはずです。
基礎データ系でG-CSFと放射線治療の併用では肺臓炎が起きやすいという噂もあるようなのですが、G-CSFそのものが肺臓炎リスクを高める薬剤だと報告されています。これは(GEMとかタキサン系などの)抗がん剤単独治療でも起きえます。もちろんその発症頻度が問題なわけですが、臨床報告レベルではあまり信頼性の高い肺臓炎の報告はみつけられませんでした(あったら教えてください)。
G-CSF製剤投与を必要とする発熱性好中球減少症(febrile neutropenia;FN)をきたしそうな縦隔の化学放射線療法同時併用するがんとして、小細胞肺がん(CDDP+VP-16)や非小細胞肺がん(CBDCA+PTXなど)、食道がん(CDDP+5Fu)などが挙がります。
FNが発症しそうなGrade3-4の好中球減少(かFNを発症してしまった場合)は、治療的投与として「照射を休止していればG-CSF同時併用ではない」という言い訳(?)ができるかもしれません。これまでのG-CSF製剤は血中半減期がとても短いので投与当日に放射線治療を併用しなければ問題ないのでは?とお知り合いの専門家の先生もおっしゃっていましたし。
しかし、縦隔の化学放射線療法同時併用で持続型G-CSF製剤(ジーラスタ)を予防的投与となるとそうはいきません。
ジーラスタをあえて予防的に使わなければいいことなのかもしれませんが、初回抗がん剤投与時に好中球減少が出現してしまった後の2回目の抗がん剤投与では、主治医の先生とともにかなり悩みそうです。
また、前述のASCOガイドラインでも「初回化学療法投与時の予防的G-CSFは特別な場合(化学療法により感染性の合併症がおきるリスクファクターをもった患者)を除き推奨できない」と示されていますし、初回からジーラスタを投与することはほぼ無いのでしょう(?)。
これはあくまで個人的意見ですが、実際にG-CSF製剤を投与しても(その影響かはわかりませんが)命をおびやかすような血小板減少などは(もし減少しても輸血などを施行すれば)まず起きないのでは?という印象もあります。
ちなみに、2011年にSWOGを追試するような小細胞肺がん化学放射線同時併用(CDDP+VP-16)のPhase II報告が英国グループから出ました。全症例数は38例と少ないですが、G-CSF同時併用をするとやはり血小板は減少していたようです(なんでだろ?)。しかし重症肺臓炎はなかったようですし、血小板減少も「G-CSF禁忌」とするほどの影響はなかったようです。この論文によると、現在は第III相試験を行っているらしく、その結果が注目されます(よね?)
Sheikh H, et al. Lung Cancer 2011; 74: 75-79
肺がんの放射線治療で有名な米国の放射線腫瘍の某先生は「G-CSFなんて気にしなくてもいい」ようなことをおっしゃっていたそうです。有名な専門家のコメントって実は診療ガイドラインの客観評価の目安であるエビデンスレベルとしては一番信頼度が低いとされていますが…。偉い先生の感想なんてあまりあてにはなりませんよ、って意味。
もっとも、このG-CSF適正使用診療ガイドラインが世に出る何年も前から普通に気にせず肺がんや食道がんの化学放射線同時併用療法でG-CSFも同時に使われていた同じ職場の諸先生方の診療をみていて「大丈夫だろ」といまだに信じている私の経験よりは重みがあるのでしょう。
頭頸部がんでも肺尖部に少しだけ照射されるようなケースでタキサン系抗がん剤が同時併用されるレジメではどうなのか?とか、今後話題(≒問題)になってきそうな気もします。現時点で頭頸部がんの化学放射線療法同時併用でタキサン系は標準レジメンにはなっていないのですが、国内外の学会報告だけを見ても普通に併用している施設って少なくないようですし。
それが良いかどうかは別として。
これもジーラスタをあえて予防的に使わなければいいことなのかもしれませんが…。
今回の投稿における私にとって一番のポイント(というか不満な点)は、臨床試験(しかもSWOG&ASCO)の結果は重いとはいえ、輸血を含めた抗がん治療の支持療法がかなり進歩してきた現在においても 20年くらい前のたった一つの論文報告だけでガイドラインにグレードDと書かれてしまうのは正直いかがなものか ということでした。タイトルで書いてましたね。
今後出てくる(かもしれない)臨床試験の報告を含め、化学放射線療法同時併用の際にG-CSFを(どのように?)使うことによる好中球回復の利点と、放射線併用による(?)副作用をきちんと評価していくことが今後求められる課題なのかなと思います。
とはいえ、私自身がグレードDに反論できるような臨床試験を計画しているわけでなく(申し訳ございません)、やっぱり現時点では安全第一に(縦隔への)化学放射線同時併用と安易なジーラスタ投与は控える対応をすべきなのでしょう。
ということで、放射線腫瘍医として対応がいささかやっかいな薬剤だなという気がしています…田舎の町医者の印象は別として。
Bunn, et al. JCO 1995; 13: 1632-41
ASCOガイドライン2004&2006でも「G-CSFと化学放射線療法同時併用は避けるべき」となっていたのですが、これも同じ報告をよりどころにしているようです。
縦隔照射でなくても特に抗がん剤と併用した場合では血小板は減少することがあります。骨盤照射のほうが照射範囲や骨髄機能的には影響が大きいはずです。
基礎データ系でG-CSFと放射線治療の併用では肺臓炎が起きやすいという噂もあるようなのですが、G-CSFそのものが肺臓炎リスクを高める薬剤だと報告されています。これは(GEMとかタキサン系などの)抗がん剤単独治療でも起きえます。もちろんその発症頻度が問題なわけですが、臨床報告レベルではあまり信頼性の高い肺臓炎の報告はみつけられませんでした(あったら教えてください)。
G-CSF製剤投与を必要とする発熱性好中球減少症(febrile neutropenia;FN)をきたしそうな縦隔の化学放射線療法同時併用するがんとして、小細胞肺がん(CDDP+VP-16)や非小細胞肺がん(CBDCA+PTXなど)、食道がん(CDDP+5Fu)などが挙がります。
FNが発症しそうなGrade3-4の好中球減少(かFNを発症してしまった場合)は、治療的投与として「照射を休止していればG-CSF同時併用ではない」という言い訳(?)ができるかもしれません。これまでのG-CSF製剤は血中半減期がとても短いので投与当日に放射線治療を併用しなければ問題ないのでは?とお知り合いの専門家の先生もおっしゃっていましたし。
しかし、縦隔の化学放射線療法同時併用で持続型G-CSF製剤(ジーラスタ)を予防的投与となるとそうはいきません。
ジーラスタをあえて予防的に使わなければいいことなのかもしれませんが、初回抗がん剤投与時に好中球減少が出現してしまった後の2回目の抗がん剤投与では、主治医の先生とともにかなり悩みそうです。
また、前述のASCOガイドラインでも「初回化学療法投与時の予防的G-CSFは特別な場合(化学療法により感染性の合併症がおきるリスクファクターをもった患者)を除き推奨できない」と示されていますし、初回からジーラスタを投与することはほぼ無いのでしょう(?)。
これはあくまで個人的意見ですが、実際にG-CSF製剤を投与しても(その影響かはわかりませんが)命をおびやかすような血小板減少などは(もし減少しても輸血などを施行すれば)まず起きないのでは?という印象もあります。
ちなみに、2011年にSWOGを追試するような小細胞肺がん化学放射線同時併用(CDDP+VP-16)のPhase II報告が英国グループから出ました。全症例数は38例と少ないですが、G-CSF同時併用をするとやはり血小板は減少していたようです(なんでだろ?)。しかし重症肺臓炎はなかったようですし、血小板減少も「G-CSF禁忌」とするほどの影響はなかったようです。この論文によると、現在は第III相試験を行っているらしく、その結果が注目されます(よね?)
Sheikh H, et al. Lung Cancer 2011; 74: 75-79
肺がんの放射線治療で有名な米国の放射線腫瘍の某先生は「G-CSFなんて気にしなくてもいい」ようなことをおっしゃっていたそうです。有名な専門家のコメントって実は診療ガイドラインの客観評価の目安であるエビデンスレベルとしては一番信頼度が低いとされていますが…。偉い先生の感想なんてあまりあてにはなりませんよ、って意味。
もっとも、このG-CSF適正使用診療ガイドラインが世に出る何年も前から普通に気にせず肺がんや食道がんの化学放射線同時併用療法でG-CSFも同時に使われていた同じ職場の諸先生方の診療をみていて「大丈夫だろ」といまだに信じている私の経験よりは重みがあるのでしょう。
頭頸部がんでも肺尖部に少しだけ照射されるようなケースでタキサン系抗がん剤が同時併用されるレジメではどうなのか?とか、今後話題(≒問題)になってきそうな気もします。現時点で頭頸部がんの化学放射線療法同時併用でタキサン系は標準レジメンにはなっていないのですが、国内外の学会報告だけを見ても普通に併用している施設って少なくないようですし。
それが良いかどうかは別として。
これもジーラスタをあえて予防的に使わなければいいことなのかもしれませんが…。
今回の投稿における私にとって一番のポイント(というか不満な点)は、臨床試験(しかもSWOG&ASCO)の結果は重いとはいえ、輸血を含めた抗がん治療の支持療法がかなり進歩してきた現在においても 20年くらい前のたった一つの論文報告だけでガイドラインにグレードDと書かれてしまうのは正直いかがなものか ということでした。タイトルで書いてましたね。
今後出てくる(かもしれない)臨床試験の報告を含め、化学放射線療法同時併用の際にG-CSFを(どのように?)使うことによる好中球回復の利点と、放射線併用による(?)副作用をきちんと評価していくことが今後求められる課題なのかなと思います。
とはいえ、私自身がグレードDに反論できるような臨床試験を計画しているわけでなく(申し訳ございません)、やっぱり現時点では安全第一に(縦隔への)化学放射線同時併用と安易なジーラスタ投与は控える対応をすべきなのでしょう。
ということで、放射線腫瘍医として対応がいささかやっかいな薬剤だなという気がしています…田舎の町医者の印象は別として。
昨夜、約4年前に私が着任してから初めて病院全体の新年会が開催されました。駅前のビール園を貸切り総勢200名超もの参加者でした。
昔は毎年病院全体の忘年会があったらしいのですが、諸事情があって立ち消えになった状態がしばらく続いていたようです。昨夏の医局ビールパーティーで何人かの有志が勢いで病院全体の交流会(忘年会か新年会)を提案し、実はあまり乗り気でなかったけれど病院全体を束ねるには適任者の先輩女医さんを仕立てあげるような形で話が進行し、今回の新年会開催となりました。
もちろん部署ごとの忘年会や新年会は今でも毎年ありますが、やっぱり全体の交流会がないのは寂しいですし、なかなか職場だと仕事絡みの真面目なお話が中心になり、人となりがわかりにくいものです。
私が医者になりたての頃は、病院の「中で」患者さんも交えて大忘年会を開催していたこともありました(別の病院での話ですが、そういう施設は多かった記憶があります)。古き良き時代でした。
今なら新聞沙汰です。世知辛い時代になったものです。
予想通り楽しい2時間あまりの宴で、ホテルのようなかしこまった会場でもなく、私もいろいろな職種の方々と飲みながらお話しをさせていただきました。勢い余って2次会まで参加し、実はまだいささか顔がむくんでいる状態です。
今週は病棟待機番。気を引き締めてお仕事いたします。
準備はいろいろ大変だったようですが、来年も開催されるといいなあ。個人的にはお手軽だし会場も同じでいいんだけど、ラムが苦手って方もいるのが少しひっかかる点?
関係者の皆さま、ありがとうございました。

昔は毎年病院全体の忘年会があったらしいのですが、諸事情があって立ち消えになった状態がしばらく続いていたようです。昨夏の医局ビールパーティーで何人かの有志が勢いで病院全体の交流会(忘年会か新年会)を提案し、実はあまり乗り気でなかったけれど病院全体を束ねるには適任者の先輩女医さんを仕立てあげるような形で話が進行し、今回の新年会開催となりました。
もちろん部署ごとの忘年会や新年会は今でも毎年ありますが、やっぱり全体の交流会がないのは寂しいですし、なかなか職場だと仕事絡みの真面目なお話が中心になり、人となりがわかりにくいものです。
私が医者になりたての頃は、病院の「中で」患者さんも交えて大忘年会を開催していたこともありました(別の病院での話ですが、そういう施設は多かった記憶があります)。古き良き時代でした。
今なら新聞沙汰です。世知辛い時代になったものです。
予想通り楽しい2時間あまりの宴で、ホテルのようなかしこまった会場でもなく、私もいろいろな職種の方々と飲みながらお話しをさせていただきました。勢い余って2次会まで参加し、実はまだいささか顔がむくんでいる状態です。
今週は病棟待機番。気を引き締めてお仕事いたします。
準備はいろいろ大変だったようですが、来年も開催されるといいなあ。個人的にはお手軽だし会場も同じでいいんだけど、ラムが苦手って方もいるのが少しひっかかる点?
関係者の皆さま、ありがとうございました。

持続型G-CSF製剤(商品名:ジーラスタ®)がまもなくうちの病院でも採用されそうです。この薬剤、抗がん剤の副作用対策に役立つ良いお薬ではあるのですが、放射線腫瘍医として対応がいささかやっかいだなという気が個人的にしています。
G-CSF:顆粒球コロニー刺激因子(かりゅうきゅうコロニーしげきいんし、granulocyte-colony stimulating factor)とは、サイトカインの一種で好中球(細菌や真菌類を飲み込んで殺菌を行うことで、感染を防ぐ役割を果たす白血球の1種類)の産出促進や機能を高める作用がある。英語の略号でG-CSFと表記することが多い。 (Wikipediaより一部改変引用)
抗がん剤治療の種類によっては身体の骨髄も強いダメージを受け、数日~数週すると体調に支障をきたしうる血液中の白血球や赤血球、血小板などの減少(いわゆる骨髄抑制)が起きてきます。G-CSF製剤とは、減少した血液中の白血球の1種である好中球の数を回復させる高価なお薬のことで、国内でもバイオ後続品と呼ばれるものを含め何種類かの医薬品が承認販売されています。
今回採用予定のジーラスタ®は『がん化学療法による好中球減少症の治療に用いられるG-CSFの一つ「フィルグラスチム」をペグ化した、持続型のG-CSF製剤です。がん化学療法による好中球減少症に対して、ジーラスタ®はがん化学療法1サイクルに1回の投与で、フィルグラスチム連日投与に劣らない効果を発揮することから、医療上の簡便性に優れ、特に、患者さんの投与負担軽減や外来化学療法後の通院負担軽減に寄与できることが期待されています。また、ジーラスタ®を好中球減少症の発症前に投与することで、好中球減少症による感染症発症リスクを低減し、がん化学療法の投与量やスケジュール遵守が可能となるといった、医療上のメリットも期待されています。』(協和発酵キリン株式会社さんHPのニュースリリース2014年9月26日分から引用)
http://www.kyowa-kirin.co.jp/news_releases/2014/20140926_01.html
従来のG-CSF製剤というのは、通常は抗がん剤投与後しばらくして好中球減少症となった「後に」速やかな回復をめざした「治療的」投与をしています。一方、ジーラスタでおそらく最も期待されている効果というのが抗がん剤投与後の好中球減少症の「発症前に」投与、具体的には毎回の抗がん剤投与翌日にジーラスタを「予防的」投与することで抗がん剤の副作用リスクを減らします。
問題の一つは薬価。なんとこの薬1回投与だけで106660円もするそうです(もちろん抗がん剤その他は別費用)。骨髄抑制(好中球減少)が強く出る可能性が高い抗がん剤治療を行う際に安心ですが、入院で抗がん剤治療を行う場合は定額制の包括払いになるので病院経営上はなかなか厳しいという意見もあるようです。
外来治療だとしても、病院会計窓口で患者さんが知らずに支払い伝票を見たらびっくりして「オシッコちびりそう」な値段だ、と某先輩ドクターが申しておりました…。
ジーラスタの保険適応ですが「がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制」、全部のがんが対象になっています。でも、国内で行われた第II-III相臨床試験は「乳がん」「悪性リンパ腫」、つまり放射線治療との同時併用をすることがまずない疾患だったようです。
毒性を確認する第I相臨床試験は肺がんが対象でしたが、少数例で抗がん剤だけの試験でもちろん放射線治療の同時併用はしていません。
http://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/P201400119/230124000_22600AMX01304_A100_1.pdf
で、ここからが私がなぜ「いささかやっかいだ」などと冒頭に書いたか。
G-CSF適正使用診療ガイドラインというのが日本癌治療学会から発行されています。ネット上で無料公開されています。
http://www.jsco-cpg.jp/guideline/30.html
その中に 「放射線を併用して化学療法を行う際や,単独で放射線療法を施行する際に,G-CSF を投与してよいか?」というCQ (Clinical Question:臨床での質問) があり、「推奨グレードD:放射線同時併用化学療法施行時、縦隔領域が照射内に含まれる場合は、G-CSF使用は推奨されない」 という記載があります。
つまり グレードD=使っちゃダメ! ということです。ご存じでしたか?
ちなみに「推奨グレードC1:放射線療法施行時、好中球減少症により、放射線照射の遅延が長引くと予測される場合にG-CSFの治療的投与を考慮しても良い」とあります。つまり 「放射線治療単独ならまあいいでしょう」 ということのようです。
(その2に続く)
G-CSF:顆粒球コロニー刺激因子(かりゅうきゅうコロニーしげきいんし、granulocyte-colony stimulating factor)とは、サイトカインの一種で好中球(細菌や真菌類を飲み込んで殺菌を行うことで、感染を防ぐ役割を果たす白血球の1種類)の産出促進や機能を高める作用がある。英語の略号でG-CSFと表記することが多い。 (Wikipediaより一部改変引用)
抗がん剤治療の種類によっては身体の骨髄も強いダメージを受け、数日~数週すると体調に支障をきたしうる血液中の白血球や赤血球、血小板などの減少(いわゆる骨髄抑制)が起きてきます。G-CSF製剤とは、減少した血液中の白血球の1種である好中球の数を回復させる高価なお薬のことで、国内でもバイオ後続品と呼ばれるものを含め何種類かの医薬品が承認販売されています。
今回採用予定のジーラスタ®は『がん化学療法による好中球減少症の治療に用いられるG-CSFの一つ「フィルグラスチム」をペグ化した、持続型のG-CSF製剤です。がん化学療法による好中球減少症に対して、ジーラスタ®はがん化学療法1サイクルに1回の投与で、フィルグラスチム連日投与に劣らない効果を発揮することから、医療上の簡便性に優れ、特に、患者さんの投与負担軽減や外来化学療法後の通院負担軽減に寄与できることが期待されています。また、ジーラスタ®を好中球減少症の発症前に投与することで、好中球減少症による感染症発症リスクを低減し、がん化学療法の投与量やスケジュール遵守が可能となるといった、医療上のメリットも期待されています。』(協和発酵キリン株式会社さんHPのニュースリリース2014年9月26日分から引用)
http://www.kyowa-kirin.co.jp/news_releases/2014/20140926_01.html
従来のG-CSF製剤というのは、通常は抗がん剤投与後しばらくして好中球減少症となった「後に」速やかな回復をめざした「治療的」投与をしています。一方、ジーラスタでおそらく最も期待されている効果というのが抗がん剤投与後の好中球減少症の「発症前に」投与、具体的には毎回の抗がん剤投与翌日にジーラスタを「予防的」投与することで抗がん剤の副作用リスクを減らします。
問題の一つは薬価。なんとこの薬1回投与だけで106660円もするそうです(もちろん抗がん剤その他は別費用)。骨髄抑制(好中球減少)が強く出る可能性が高い抗がん剤治療を行う際に安心ですが、入院で抗がん剤治療を行う場合は定額制の包括払いになるので病院経営上はなかなか厳しいという意見もあるようです。
外来治療だとしても、病院会計窓口で患者さんが知らずに支払い伝票を見たらびっくりして「オシッコちびりそう」な値段だ、と某先輩ドクターが申しておりました…。
ジーラスタの保険適応ですが「がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制」、全部のがんが対象になっています。でも、国内で行われた第II-III相臨床試験は「乳がん」「悪性リンパ腫」、つまり放射線治療との同時併用をすることがまずない疾患だったようです。
毒性を確認する第I相臨床試験は肺がんが対象でしたが、少数例で抗がん剤だけの試験でもちろん放射線治療の同時併用はしていません。
http://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/P201400119/230124000_22600AMX01304_A100_1.pdf
で、ここからが私がなぜ「いささかやっかいだ」などと冒頭に書いたか。
G-CSF適正使用診療ガイドラインというのが日本癌治療学会から発行されています。ネット上で無料公開されています。
http://www.jsco-cpg.jp/guideline/30.html
その中に 「放射線を併用して化学療法を行う際や,単独で放射線療法を施行する際に,G-CSF を投与してよいか?」というCQ (Clinical Question:臨床での質問) があり、「推奨グレードD:放射線同時併用化学療法施行時、縦隔領域が照射内に含まれる場合は、G-CSF使用は推奨されない」 という記載があります。
つまり グレードD=使っちゃダメ! ということです。ご存じでしたか?
ちなみに「推奨グレードC1:放射線療法施行時、好中球減少症により、放射線照射の遅延が長引くと予測される場合にG-CSFの治療的投与を考慮しても良い」とあります。つまり 「放射線治療単独ならまあいいでしょう」 ということのようです。
(その2に続く)
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