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放射線治療にたずさわっている赤ワインが好きな町医者です。緩和医療や在宅医療、統合医療にも関心があります。仕事上の、医療関係の、趣味や運動の、その他もろもろの随想を不定期に更新する予定です。
 病院を移籍しておよそ2か月が経過しました。ブログ更新、すっかりご無沙汰になっていました。前回更新後も歓送迎会や懇親会などがいろいろあり、いささか胃もたれ(と懐具合)が気になる昨今です。

 初の粒子線治療、初の新幹線通勤、初の東京診療など、50歳を超えたオヤジ放射線腫瘍医にはあまり慣れない環境が続いております。もっとも、若くやる気ある先生方が多い施設なので、肉体的負担は(朝が早く遠距離通勤が多く夜の会合が多いことを除いて)そんなではないのですが…。

 そもそも粒子線治療は(来年度からの先進医療絡みで)ようやく国内で多施設臨床試験の計画がいくつか進んでいる状態らしく、過去の医学論文をちらちらながめてもX線治療のような標準的といえる治療法がまだきちんと定まっていません。ということで、良くも悪くも各施設・担当医の裁量権にある程度任せられているような印象です。X線治療しか知らず経験の乏しい新人の私は、正直頭の中がまだまだ整理しきれておりません。
 もっとも、X線治療においても(抗がん剤や手術にしても)診療ガイドラインというのはあくまで限られた患者さんに該当する標準的な診療内容を示しているに過ぎず、例えば高齢者とか再治療など幾多もある例外患者さんのご意向を踏まえたうえで各担当医の裁量権に委ねられている診療というのも多々あるわけですが…。

 (せいぜい四半世紀の限られた経験しか私もありませんが)施設によって、いや各科・各担当医によって、裁量権というか診療スタンスに関する根拠度・イケイケ度というのは全然違います。生存率といった医学的な客観数値で表現しがたいこの辺の違いは、がん診療に限ってはいるものの各診療科と横断的に交流できる放射線治療科ならでは味わえる印象・感覚なのかもしれません。各施設の治療件数やスタッフ数も診療レベルある程度示唆するものではありますが、当然それだけではありません。
 現在私が所属している施設は、年配の先生方も多いのですがどちらかというといろいろな面で「元気」です。民間病院だからかな?そしてうちの科は特に若くて元気な先生が多いです。ちなみに、実はまもなく新人の私が最年長になってしまいます(笑)

 粒子線治療を受けられる患者さんの層(という表現は不適切か…)も一般的なX線治療患者さんとは「異質」な印象です。約300万円を実費で支払う、または先進医療保険特約に加入しているという点で、すでにバイアスがかかっているからでしょうか?
 保険外の高額診療というのは、本来の診療以外のプレッシャーもどことなく感じてしまいます。


 仮面をかぶった(つもりの)状態で、老いも若きもいろいろな方からいろいろと学ばせていただいております。


 医学論文も書くように言われています…ブログ更新すら滞っているのに(苦笑)。でも、慣れてきたらもう少し投稿数を増やせそうな気はします。


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【2015/08/30 23:31】 | 放射線治療:一般
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通りすがり
放射線診断の方は物理や数学に明るくなくても
大丈夫みたいですが腫瘍医でバリバリやるには
やっぱり物理と数学に詳しくないと厳しいでしょうか?

通りすがりさんへ
JIN
機器など医学物理系研究を医師としてしたいから詳しい方が良いでしょうが、腫瘍医であっても臨床医なら算数くらいで充分です。むしろ文系に明るい方が役立つ気がします。でも学会員をみわたすと物理や数学が得意そうな先生は多いですね。


通りすがり
お礼遅くなり申し訳ありません。
算数レベルで良いとは意外です。
ありがとうございました。

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