本日で今年の通常診療業務が終了いたしました。世間は年末休日のようですが、うちは民間病院なので普通に診療いたしました。普段の土曜も普通に診療しております。
もちろん、規定の休暇(+学会などの出張)は交代でちゃんといただいています。
もっとも、放射線治療科は休日照射対策があるので、昨今は年末年始休暇中でも放射線治療を行っている施設は公立病院でも普通となりました。以前のブログでも書きましたので、万が一興味ある方がいらっしゃったらご覧ください。
http://mccradonc.blog.fc2.com/blog-entry-29.html
http://mccradonc.blog.fc2.com/blog-entry-30.html
今年も仕事面ではいろいろありましたが、個人的な一番のイベントはやっぱり病院を移ったことでしょうか。関係各位のご指導、ご理解、ご協力のおかげで、移籍後なんとか半年経過することができました。
かかわらせていただいた皆さま、改めて御礼申し上げます。
来年は、新規導入するサイバーナイフの研修会に年明け早々から数日間参加したり、(私が大変な立ち上げ準備に関わっているわけではございませんが)BNCT治験が年明けからいよいよ始まったり、リニアックも増設話があったり、陽子線治療のいろいろな多施設臨床試験などの打ち合わせなどがあったり(もしかしたら何かが変わるかもしれなかったり)、いろいろな施設への出張が増えたり、もちろん通常の診療業務がだんだん増えたりと、さまざまありそうです。
かかわらせていただく皆さま、どうぞよろしくお願い申し上げます。
ここ半年間、私なりに経験してきた陽子線治療。論文や学会などで仕入れていた耳学問を少し持ち込んでみたものの、実臨床を経験してみるとやっぱりけっこう印象が変わりました。
陽子線治療を対象とするがん種や病状、放射線治療計画の線量分布、そして治療を希望されて受診される方々、などなど。
私がこれまで20年以上診療してきた放射線治療とはいろいろな面で違う部分がありました。これまで得てきたものがいろいろな面で役立ったかなと思う部分もありました。
本音を書くと、着任早々から陽子線治療についてもそういった思いつき話題をいろいろ取り上げてみたいとは思っていたのですが、いざ現場に立ってみると学ぶことが多く、中途半端な日記にできずにおりました。また、今の粒子線治療は特に制度面で過渡期を迎えているようで、なかなか文章にしにくい部分もありました。
来年はいろいろな面で充分に配慮しつつ、どなたかに少しでも参考になるような話題提供ができればと思っております。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
PS:短期間でも良いのでBNCTや陽子線治療やサイバーナイフや放射線治療患者さんの病棟管理をうちの施設で経験してみませんか?将来、きっと役に立つと思いますよ!
西が無い施設です。

もちろん、規定の休暇(+学会などの出張)は交代でちゃんといただいています。
もっとも、放射線治療科は休日照射対策があるので、昨今は年末年始休暇中でも放射線治療を行っている施設は公立病院でも普通となりました。以前のブログでも書きましたので、万が一興味ある方がいらっしゃったらご覧ください。
http://mccradonc.blog.fc2.com/blog-entry-29.html
http://mccradonc.blog.fc2.com/blog-entry-30.html
今年も仕事面ではいろいろありましたが、個人的な一番のイベントはやっぱり病院を移ったことでしょうか。関係各位のご指導、ご理解、ご協力のおかげで、移籍後なんとか半年経過することができました。
かかわらせていただいた皆さま、改めて御礼申し上げます。
来年は、新規導入するサイバーナイフの研修会に年明け早々から数日間参加したり、(私が大変な立ち上げ準備に関わっているわけではございませんが)BNCT治験が年明けからいよいよ始まったり、リニアックも増設話があったり、陽子線治療のいろいろな多施設臨床試験などの打ち合わせなどがあったり(もしかしたら何かが変わるかもしれなかったり)、いろいろな施設への出張が増えたり、もちろん通常の診療業務がだんだん増えたりと、さまざまありそうです。
かかわらせていただく皆さま、どうぞよろしくお願い申し上げます。
ここ半年間、私なりに経験してきた陽子線治療。論文や学会などで仕入れていた耳学問を少し持ち込んでみたものの、実臨床を経験してみるとやっぱりけっこう印象が変わりました。
陽子線治療を対象とするがん種や病状、放射線治療計画の線量分布、そして治療を希望されて受診される方々、などなど。
私がこれまで20年以上診療してきた放射線治療とはいろいろな面で違う部分がありました。これまで得てきたものがいろいろな面で役立ったかなと思う部分もありました。
本音を書くと、着任早々から陽子線治療についてもそういった思いつき話題をいろいろ取り上げてみたいとは思っていたのですが、いざ現場に立ってみると学ぶことが多く、中途半端な日記にできずにおりました。また、今の粒子線治療は特に制度面で過渡期を迎えているようで、なかなか文章にしにくい部分もありました。
来年はいろいろな面で充分に配慮しつつ、どなたかに少しでも参考になるような話題提供ができればと思っております。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
PS:短期間でも良いのでBNCTや陽子線治療やサイバーナイフや放射線治療患者さんの病棟管理をうちの施設で経験してみませんか?将来、きっと役に立つと思いますよ!
西が無い施設です。

スポンサーサイト
先日、がんのリハビリテーションをテーマにした院内研修会があり、エビデンスと多職種連携についていろいろな情報を教えていただきました。以前に紹介したがんのリハビリテーションガイドラインについてもわかりやすく解説していただきました。
http://mccradonc.blog.fc2.com/blog-entry-117.html
うちの病院では月に1~2回くらいリハビリテーションを施行中の骨転移患者さんを主に骨転移カンファレンスを開催しています。リハビリ科の理学療法士・作業療法士さんや整形外科・外科・放射線治療科などの医者(いちおう私も)、がん専門看護師さんや緩和ケア対策室の看護師さん、医療ソーシャルワーカーさんなどが一同に会し、『患者さん・ご家族の希望や問題点の共有やリスクの確認(安静度の設定や外固定の必要性)、治療適応(手術や放射線治療など)、ケアの注意点、リハビリテーションの目標、退院調整について、など症例に合わせて様々な検討を行っています。』(研修会ハンドアウトから一部修正引用)
以前、ブログで次のようなことを書きました。
『キャンサーボードっていうと、臓器横断型という表現はしているものの、肺がんキャンサーボードとか胃がんキャンサーボードといった「臓器毎に分けた」多職種スタッフが個別症例の検討会をするイメージが私にはなんとなくあります。(…中略…)
ですが、骨転移ってすべてのがんから発症する可能性がある病状なので、各診療科主治医はもちろんですが、整形外科・リハビリ科・放射線腫瘍科&診断科・緩和科・看護師・薬剤師・ソーシャルワーカーさんなどがそれぞれの立場で意見を出しやすいという点では、臓器横断型という趣旨に比較的合致したキャンサーボードかもしれません。
骨転移へ放射線治療後のリハビリテーションも病状や社会復帰などの目標により多様性に富んだ領域です。
社会復帰を含めた骨転移照射後のリハビリって個人差が大きく、また骨転移患者さんに対するリハビリスケジュールって全国的にもいまだに標準的されていないので、患者さんに骨転移緩和的放射線治療の説明をする時によく悩みます。患者さんのリハビリ方針決定も、骨転移キャンサーボードのほうが症例や専門意見の集約ができて検討会としての実りは大きいかもしれません。』
http://mccradonc.blog.fc2.com/blog-entry-82.html
私がこれまで勤務した病院で初の多職種がきちんと集まる骨転移カンファレンス(キャンサーボード)、まさにこんな感じです。ちなみに私、複数の大学病院を含め常勤で8施設、非常勤を含めると数十施設で仕事をさせていただきましたが、他のカンファレンスで骨転移症例が提示されたり、少人数で相談することはもちろんこれまでもありました。
放射線腫瘍医は、痛みや神経まひなどを伴う多くの骨転移患者さんに対し症状緩和のための放射線治療を提供する機会が多くあります。がん臨床の先生方も骨転移患者さんを診療することは日常的なことだと思いますが、そんな「身近な」骨転移に対するリハビリテーションというのは、医療者側ですらきちんと把握されていないことが少なくないように感じています。
だんだん回復する他の疾患と違って、骨転移は経時的に回復にも悪化にも変化する(=病状に波がある)ことが少なくなく、また治療の目標は症例によって、いや同じ症例でもその時の状態によって大きく異なります。骨転移で骨折しそうな部分に放射線治療を行ったからといってすぐに骨が固くなるわけではなく、コルセットなどの装具が必要だったり車いすなどで荷重制限を数週間も課さなければならないケースも少なくありません。
生命予後が限られていると予測される方に対し、骨折予防に生活の制限をかけるのはとても辛いことです。もちろん骨折してしまうともっと辛い状況になってしまいますが…。
「もし骨折しても手術すればいい」とおっしゃる頼もしい整形外科の先生もおられますが実際には少なく、がんの病状が進んで手術そのものが困難な場合は少なくありませんし、3~6ヵ月の生命予後が期待されないと手術適応にはならないというのが一般的です。
骨転移のリハビリテーション方針決定にも、がんの縮小予測や生命予後予測は大変重要となります。しかし予測というのは簡単ではなく、ベテラン医師の経験というのも眉唾ものが少なくありません。「余命○○ヶ月の宣告」なんて当たらないことばかりですから、記憶の限り私は言ったことがありません(代わりに報告上の生存中央値をお伝えすることはあります)。
様々ながんの骨転移患者さんが何を望んでいるのかを引き出し、今後起きうる症状やリスクの管理をするには、サポートする医療者がチームとして多職種連携し情報共有することがとても大事です。
骨転移カンファレンス、(施設として余力があれば)お薦めです!

http://mccradonc.blog.fc2.com/blog-entry-117.html
うちの病院では月に1~2回くらいリハビリテーションを施行中の骨転移患者さんを主に骨転移カンファレンスを開催しています。リハビリ科の理学療法士・作業療法士さんや整形外科・外科・放射線治療科などの医者(いちおう私も)、がん専門看護師さんや緩和ケア対策室の看護師さん、医療ソーシャルワーカーさんなどが一同に会し、『患者さん・ご家族の希望や問題点の共有やリスクの確認(安静度の設定や外固定の必要性)、治療適応(手術や放射線治療など)、ケアの注意点、リハビリテーションの目標、退院調整について、など症例に合わせて様々な検討を行っています。』(研修会ハンドアウトから一部修正引用)
以前、ブログで次のようなことを書きました。
『キャンサーボードっていうと、臓器横断型という表現はしているものの、肺がんキャンサーボードとか胃がんキャンサーボードといった「臓器毎に分けた」多職種スタッフが個別症例の検討会をするイメージが私にはなんとなくあります。(…中略…)
ですが、骨転移ってすべてのがんから発症する可能性がある病状なので、各診療科主治医はもちろんですが、整形外科・リハビリ科・放射線腫瘍科&診断科・緩和科・看護師・薬剤師・ソーシャルワーカーさんなどがそれぞれの立場で意見を出しやすいという点では、臓器横断型という趣旨に比較的合致したキャンサーボードかもしれません。
骨転移へ放射線治療後のリハビリテーションも病状や社会復帰などの目標により多様性に富んだ領域です。
社会復帰を含めた骨転移照射後のリハビリって個人差が大きく、また骨転移患者さんに対するリハビリスケジュールって全国的にもいまだに標準的されていないので、患者さんに骨転移緩和的放射線治療の説明をする時によく悩みます。患者さんのリハビリ方針決定も、骨転移キャンサーボードのほうが症例や専門意見の集約ができて検討会としての実りは大きいかもしれません。』
http://mccradonc.blog.fc2.com/blog-entry-82.html
私がこれまで勤務した病院で初の多職種がきちんと集まる骨転移カンファレンス(キャンサーボード)、まさにこんな感じです。ちなみに私、複数の大学病院を含め常勤で8施設、非常勤を含めると数十施設で仕事をさせていただきましたが、他のカンファレンスで骨転移症例が提示されたり、少人数で相談することはもちろんこれまでもありました。
放射線腫瘍医は、痛みや神経まひなどを伴う多くの骨転移患者さんに対し症状緩和のための放射線治療を提供する機会が多くあります。がん臨床の先生方も骨転移患者さんを診療することは日常的なことだと思いますが、そんな「身近な」骨転移に対するリハビリテーションというのは、医療者側ですらきちんと把握されていないことが少なくないように感じています。
だんだん回復する他の疾患と違って、骨転移は経時的に回復にも悪化にも変化する(=病状に波がある)ことが少なくなく、また治療の目標は症例によって、いや同じ症例でもその時の状態によって大きく異なります。骨転移で骨折しそうな部分に放射線治療を行ったからといってすぐに骨が固くなるわけではなく、コルセットなどの装具が必要だったり車いすなどで荷重制限を数週間も課さなければならないケースも少なくありません。
生命予後が限られていると予測される方に対し、骨折予防に生活の制限をかけるのはとても辛いことです。もちろん骨折してしまうともっと辛い状況になってしまいますが…。
「もし骨折しても手術すればいい」とおっしゃる頼もしい整形外科の先生もおられますが実際には少なく、がんの病状が進んで手術そのものが困難な場合は少なくありませんし、3~6ヵ月の生命予後が期待されないと手術適応にはならないというのが一般的です。
骨転移のリハビリテーション方針決定にも、がんの縮小予測や生命予後予測は大変重要となります。しかし予測というのは簡単ではなく、ベテラン医師の経験というのも眉唾ものが少なくありません。「余命○○ヶ月の宣告」なんて当たらないことばかりですから、記憶の限り私は言ったことがありません(代わりに報告上の生存中央値をお伝えすることはあります)。
様々ながんの骨転移患者さんが何を望んでいるのかを引き出し、今後起きうる症状やリスクの管理をするには、サポートする医療者がチームとして多職種連携し情報共有することがとても大事です。
骨転移カンファレンス、(施設として余力があれば)お薦めです!

12月12~13日に山口市で第19回日本統合医療学会が開催され、私も学会員なので遠路参加してきました。今年で4度目でした。せっかく山口に行ったので有名だという瓦そばを食べるのも楽しみにしていたのですが、訪れたお店に2件ともふられ(土曜で貸切、日曜なのに定休)がっかりでした。
統合医療…聞き慣れない方も少なくないでしょうから、学会HPに掲載されている紹介文を以下に引用させていただきます。
『疾病を治療し症状を緩和する方法には「対症療法」と「原因療法」があります。 これまで多くの医療機関などで実践されてきた医療は、「対症療法」を中心とした近代西洋医学を根本としてきました。しかし昨今、国際的な医療の趨勢(すうせい)は、単に病だけではなく、人間の心身全体を診る「原因療法」を中心とした伝統医学や相補・代替医療も必要であるという考え方に急速に移行しています。統合医療とは、二つの療法を統合することによって両者の特性を最大限に活かし、一人ひとりの患者に最も適切な『オーダーメイド医療』を提供しようとするものです。
実際に、救命救急や外科手術などの臨床現場では近代西洋医学でしかなしえない治療が施されます。しかし一方で、慢性疾患の治療や予後の療養、さらには近代西洋医学では治療不可能と言われた症状に対して、伝統医学や相補・代替医療の有効性が数多く報告されています。また、超高齢社会が進み行く現代社会においては、治療としての医療だけではなく、疾病予防領域も重要視されており、統合医療への期待度は益々高まると予想されています。
このように、治療と予防医療の両面から対症療法・原因療法を相互発展・連携させていく統合医療の推進が、日本にとっても急務となっております。』
http://imj.or.jp/intro
ざっくり書くと、病院で提供するいわゆる西洋医学だけでなく、漢方薬(これは保険でも認められていますが)や鍼灸といった東洋・中医学、ヨーガ・アーユルヴェーダなどのインド医学を代表とする伝統医学、サプリメントやマッサージといった補完代替医療、などを統合させてより全人的な医療を構築しましょうというのを目指した学会です。
もっとも、この領域は西洋医学のような科学的報告がきちんとなされていない施術も多数あり、似非医学やプラセボ効果と揶揄されることも少なくなく、(ぼったくり)商売とみなされるものもいろいろあります。
とはいえ、現実にはがん患者さんの半数くらいが何らかの保険診療外の医療にも期待しているとの報告もあり、西洋医学者目線だけでそういったものを全否定するのも問題あるように思っています。
また、西洋医学に比べると科学性に乏しいとはいえ、定量化といった方法がまだないために実証されていないものも少なくありません(たぶん)。そこが、心身・金銭面での被害も発生しやすい似非医療との区別がつけにくい部分ではあるわけですが…。
西洋医学も、推論と経験と統計学が中心なので厳密に科学といえるかは疑問ですけど…精神医学とか。
ということで、私は寛容かつ公平な目線(のつもり)でいろいろな情報収集のため数年前から日本統合医療学会にほぼ毎年参加しております。
そして今回の学会もいろいろな立場の方々からご発表がありました。あやしげなのも含まれております。
で、私が参加前に学術大会抄録を眺めて一番関心を引いていたのが、『標準的ではない癌治療の最前線』というシンポジウムにあった『「がんが自然に治る生き方」を探して――治った人々がしていたこと』というジャーナリスト長田美穂さんのご講演抄録でした。
「がんが自然に治る生き方」という書籍は2014年11月に日経プレジデント社から翻訳本が出版され、今もAmazonで売り上げ上位を占めているそうです。米国では原著がベストセラーになったらしく、ご存じの方も多いかと思います。私も(和訳版の)発売と同時に購入し、拝読しておりました。
一般の方々が少なからず読んでいることを踏まえ、臨床の先生方も一度は目を通しておいた方がいい書籍だと私は思います。
この書籍は著者のケリーターナーさんがハーバード大の学生だった時にがんの自発的寛解(原著タイトルはRadical Remission)という現象に関心を持たれ、研究した結果をまとめたものだそうです。
長田さんの学会抄録を以下に一部改変引用させていただきます。
『医師にさじを投げられた患者の中に、10年がかりで1000本の医学論文を読破、世界10か国を旅して患者や治療者100人超へのインタビューを重ねました。そして寛解をとげた人々のほとんどが、次の9つのことを実践していたと明らかにしました。
1.抜本的に食事を変える。2.治療法は自分で決める。3.直感に従う。4.ハーブとサプリメントの力を借りる。5.抑圧された感情を解き放つ。6.より前向きに生きる。7.周囲の人の支えを受け入れる。8.自分の魂と深くつながる。9.「どうしても生きたい理由」を持つ』
実は学会当日のご講演、長田さんの同僚でこの書籍の出版にも関わられた中島愛さんがピンチヒッターとしてご登壇されました。中島さんの冒頭のご説明によると、講演予定だった長田美穂さんは残念ながら今年の10月に病気でお亡くなりになられたとのことでした。
この場をお借りして長田さんのご冥福をお祈り申し上げます。
ケリーターナーさんが指摘されたこの9つの項目はあくまでもアンケート調査から抽出した仮説ではあるものの、そのうち7つが心の持ちように関係した項目であったことには驚きです。医療者関係の項目はありませんね…。
故長田さんの抄録を再び引用すると、『がん患者や彼らに寄りそう人々は、劇的な寛解の減少にはがんの問題を超えた、人間の命、健康の本質を探る鍵が潜んでいるということに気が付き始めているということです。その本質とは、そんな状況おいても人は変わりうる、そしてその変化を後押しするのは「希望」だ、ということです。』
これまで自発的生き方の本質的な部分を変える(≒本来の自分を盛り戻す)ことが大事というのは、どうも奇跡的に(?)自発的寛解を達成されたという方々が口を揃えて強調されています。自発的寛解を自然治癒(力)と表現されている方々もいらっしゃいますが、同義語のようです。
ただ、彼らからの情報をいろいろ読んでみると、生き方の本質的な部分を変えるというのは決して簡単なことではなさそうです。また、私から見ると実は何らかの西洋医学が施されているケースもそれなりにあるようです。
この話題は改めてまた私なりにまとめてみたいと思います。
がんの自発的寛解(自然治癒力)、とても気になっています。
似非ではないような気がします。理論的根拠はありません。

統合医療…聞き慣れない方も少なくないでしょうから、学会HPに掲載されている紹介文を以下に引用させていただきます。
『疾病を治療し症状を緩和する方法には「対症療法」と「原因療法」があります。 これまで多くの医療機関などで実践されてきた医療は、「対症療法」を中心とした近代西洋医学を根本としてきました。しかし昨今、国際的な医療の趨勢(すうせい)は、単に病だけではなく、人間の心身全体を診る「原因療法」を中心とした伝統医学や相補・代替医療も必要であるという考え方に急速に移行しています。統合医療とは、二つの療法を統合することによって両者の特性を最大限に活かし、一人ひとりの患者に最も適切な『オーダーメイド医療』を提供しようとするものです。
実際に、救命救急や外科手術などの臨床現場では近代西洋医学でしかなしえない治療が施されます。しかし一方で、慢性疾患の治療や予後の療養、さらには近代西洋医学では治療不可能と言われた症状に対して、伝統医学や相補・代替医療の有効性が数多く報告されています。また、超高齢社会が進み行く現代社会においては、治療としての医療だけではなく、疾病予防領域も重要視されており、統合医療への期待度は益々高まると予想されています。
このように、治療と予防医療の両面から対症療法・原因療法を相互発展・連携させていく統合医療の推進が、日本にとっても急務となっております。』
http://imj.or.jp/intro
ざっくり書くと、病院で提供するいわゆる西洋医学だけでなく、漢方薬(これは保険でも認められていますが)や鍼灸といった東洋・中医学、ヨーガ・アーユルヴェーダなどのインド医学を代表とする伝統医学、サプリメントやマッサージといった補完代替医療、などを統合させてより全人的な医療を構築しましょうというのを目指した学会です。
もっとも、この領域は西洋医学のような科学的報告がきちんとなされていない施術も多数あり、似非医学やプラセボ効果と揶揄されることも少なくなく、(ぼったくり)商売とみなされるものもいろいろあります。
とはいえ、現実にはがん患者さんの半数くらいが何らかの保険診療外の医療にも期待しているとの報告もあり、西洋医学者目線だけでそういったものを全否定するのも問題あるように思っています。
また、西洋医学に比べると科学性に乏しいとはいえ、定量化といった方法がまだないために実証されていないものも少なくありません(たぶん)。そこが、心身・金銭面での被害も発生しやすい似非医療との区別がつけにくい部分ではあるわけですが…。
西洋医学も、推論と経験と統計学が中心なので厳密に科学といえるかは疑問ですけど…精神医学とか。
ということで、私は寛容かつ公平な目線(のつもり)でいろいろな情報収集のため数年前から日本統合医療学会にほぼ毎年参加しております。
そして今回の学会もいろいろな立場の方々からご発表がありました。あやしげなのも含まれております。
で、私が参加前に学術大会抄録を眺めて一番関心を引いていたのが、『標準的ではない癌治療の最前線』というシンポジウムにあった『「がんが自然に治る生き方」を探して――治った人々がしていたこと』というジャーナリスト長田美穂さんのご講演抄録でした。
「がんが自然に治る生き方」という書籍は2014年11月に日経プレジデント社から翻訳本が出版され、今もAmazonで売り上げ上位を占めているそうです。米国では原著がベストセラーになったらしく、ご存じの方も多いかと思います。私も(和訳版の)発売と同時に購入し、拝読しておりました。
一般の方々が少なからず読んでいることを踏まえ、臨床の先生方も一度は目を通しておいた方がいい書籍だと私は思います。
この書籍は著者のケリーターナーさんがハーバード大の学生だった時にがんの自発的寛解(原著タイトルはRadical Remission)という現象に関心を持たれ、研究した結果をまとめたものだそうです。
長田さんの学会抄録を以下に一部改変引用させていただきます。
『医師にさじを投げられた患者の中に、10年がかりで1000本の医学論文を読破、世界10か国を旅して患者や治療者100人超へのインタビューを重ねました。そして寛解をとげた人々のほとんどが、次の9つのことを実践していたと明らかにしました。
1.抜本的に食事を変える。2.治療法は自分で決める。3.直感に従う。4.ハーブとサプリメントの力を借りる。5.抑圧された感情を解き放つ。6.より前向きに生きる。7.周囲の人の支えを受け入れる。8.自分の魂と深くつながる。9.「どうしても生きたい理由」を持つ』
実は学会当日のご講演、長田さんの同僚でこの書籍の出版にも関わられた中島愛さんがピンチヒッターとしてご登壇されました。中島さんの冒頭のご説明によると、講演予定だった長田美穂さんは残念ながら今年の10月に病気でお亡くなりになられたとのことでした。
この場をお借りして長田さんのご冥福をお祈り申し上げます。
ケリーターナーさんが指摘されたこの9つの項目はあくまでもアンケート調査から抽出した仮説ではあるものの、そのうち7つが心の持ちように関係した項目であったことには驚きです。医療者関係の項目はありませんね…。
故長田さんの抄録を再び引用すると、『がん患者や彼らに寄りそう人々は、劇的な寛解の減少にはがんの問題を超えた、人間の命、健康の本質を探る鍵が潜んでいるということに気が付き始めているということです。その本質とは、そんな状況おいても人は変わりうる、そしてその変化を後押しするのは「希望」だ、ということです。』
これまで自発的生き方の本質的な部分を変える(≒本来の自分を盛り戻す)ことが大事というのは、どうも奇跡的に(?)自発的寛解を達成されたという方々が口を揃えて強調されています。自発的寛解を自然治癒(力)と表現されている方々もいらっしゃいますが、同義語のようです。
ただ、彼らからの情報をいろいろ読んでみると、生き方の本質的な部分を変えるというのは決して簡単なことではなさそうです。また、私から見ると実は何らかの西洋医学が施されているケースもそれなりにあるようです。
この話題は改めてまた私なりにまとめてみたいと思います。
がんの自発的寛解(自然治癒力)、とても気になっています。
似非ではないような気がします。理論的根拠はありません。

久しぶりにブログ更新です…
久しぶりに昨日、6月まで勤務していた病院へ行きました。今年で4度目となる緩和的放射線治療に関する講師としてお招きいただきまして。
去年まではホームということで少し気楽でしたが、今回はアウェーなのでいちおうジャケットとネクタイで正装し気を引き締めて訪問させていただきました。別に仲が悪いというわけではありません…少なくとも私の方は、ですが。
この緩和ケア研修会ですが、厚生労働省から通達された
『がん対策基本法に基づくがん対策推進基本計画(平成19年6月15日閣議決定)において、「すべてのがん診療に携わる医師が研修等により、緩和ケアについての基本的な知識を習得する」ことを目標としています。これを受けて、がん診療に携わるすべての医師が、緩和ケアについての基本的な知識を習得し、がん治療の初期段階から緩和ケアが提供されることを目的に、これら医師に対する緩和ケアの基本的な知識等を習得するための研修会を行うように、各都道府県に厚生労働省健康局長通知「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針(以下、開催指針と略)」(平成20年4月1日付け健発第0401016号)』(日本緩和医療学会HPより引用)
を受けて、日本緩和医療学会が
『「開催指針」と厚生労働省委託事業「平成20年度がん医療に携わる医師に対する緩和ケア研修等事業」(平成20年5月9日付け健発 0509004号)を受け、「緩和ケアおよび精神腫瘍学の基本教育に関する指導者研修会(以下、「指導者研修会」)」と「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会(以下、「緩和ケア研修会」)」を組み込んだ教育プログラムを作成し、これらを「日本緩和医療学会PEACEプロジェクト」として実施することとなりました。』(日本緩和医療学会HPより引用)
http://www.jspm-peace.jp/
凝縮して書くと「全国のがん拠点病院はPEACE資料などを使って医療者向け緩和ケア研修会を開催してね」といった感じです。
で、結構な量であるPEACEプロジェクトの講義用スライド集の中に、補助として緩和的放射線治療の講義用スライドもいくつか混ざっています。
http://www.jspm-peace.jp/data/v3_a/M-3_%E3%81%8C%E3%82%93%E7%96%BC%E7%97%9B%E3%81%AE%E8%A9%95%E4%BE%A1%E3%81%A8%E6%B2%BB%E7%99%82.pdf
なるべくなら全国共通の同じような内容で講義をした方が望ましいのでしょう。
ただ、PEACEの放射線治療スライド集に関しては、私がもし聴講したら睡眠導入剤になってしまいそうな文字ばかりなのです(ごめんなさい)。ということで、PEACEは一部を利用させていただき、地元医療従事者たちのニーズになるべく合うよう写真や図をいろいろ混ぜた自前のスライドを中心にお話しています。
「あんちぴーす」というつもりは毛頭ございません。
もちろん、内容が大きくずれるようなことにはならないよう配慮しているつもりです。代表的な緩和的放射線治療対象である骨転移をはじめ、このブログでもちょくちょくご紹介させていただいたMSCC、腫瘍出血、消化管閉塞、脳転移などなど、いろいろな状態・場面で症状緩和に有効な治療選択肢になりますよ!というお話をさせていただいています。
ぶっちゃけ、このブログを見なおすことで自分自身にも結構勉強になっております(笑)
よくよく聞くと、緩和ケア研修会の講義を担当なさっている他の地域のお知り合いの放射線腫瘍医の方々も私と同じようなスタイルをとられていらっしゃる場合が少なくないようです。
緩和の先生方と違って(?)、放射線腫瘍医って個性的な独り者が多いのか…もしかして、私の知り合いだけ?
類は友を呼ぶ…前にも書きましたっけ??
しかし、今回の研修会は(お知り合いの)ご年配のお医者さんがたくさん参加されていました。最近、がん拠点病院に所属するお医者さんに対する研修会参加が(ほぼ)義務化という厚労省通達がなされたからのようです。
「へ~、この先生もこの研修会をまだ受けていらっしゃらなかったのか~」と思いつつ、短い休憩時間に諸先生方と軽くご挨拶をいたしました。
で、今回の私の講義ですが、最近参加が多かったお医者さん以外の医療従事者向けにスライドを作成していたからか、私の講義が物足りなかったからか、30分枠しかないのに途中からご年配の先生方のまぶたがとても重そうでした…
次回は(また講師としてお呼びいただけるようでしたら)、ご年配の先生方の睡眠導入剤にならないよう、久しぶりに講義スライドを見直してまいります。
今年度は母校の大学病院を含め他の施設で同じようにあと2回も研修会講師としてお招きいただいておりますし。
PEACEスライドがどうのなんて偉そうに書けませんね。申し訳ございませんでした。
久しぶりに昨日、6月まで勤務していた病院へ行きました。今年で4度目となる緩和的放射線治療に関する講師としてお招きいただきまして。
去年まではホームということで少し気楽でしたが、今回はアウェーなのでいちおうジャケットとネクタイで正装し気を引き締めて訪問させていただきました。別に仲が悪いというわけではありません…少なくとも私の方は、ですが。
この緩和ケア研修会ですが、厚生労働省から通達された
『がん対策基本法に基づくがん対策推進基本計画(平成19年6月15日閣議決定)において、「すべてのがん診療に携わる医師が研修等により、緩和ケアについての基本的な知識を習得する」ことを目標としています。これを受けて、がん診療に携わるすべての医師が、緩和ケアについての基本的な知識を習得し、がん治療の初期段階から緩和ケアが提供されることを目的に、これら医師に対する緩和ケアの基本的な知識等を習得するための研修会を行うように、各都道府県に厚生労働省健康局長通知「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針(以下、開催指針と略)」(平成20年4月1日付け健発第0401016号)』(日本緩和医療学会HPより引用)
を受けて、日本緩和医療学会が
『「開催指針」と厚生労働省委託事業「平成20年度がん医療に携わる医師に対する緩和ケア研修等事業」(平成20年5月9日付け健発 0509004号)を受け、「緩和ケアおよび精神腫瘍学の基本教育に関する指導者研修会(以下、「指導者研修会」)」と「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会(以下、「緩和ケア研修会」)」を組み込んだ教育プログラムを作成し、これらを「日本緩和医療学会PEACEプロジェクト」として実施することとなりました。』(日本緩和医療学会HPより引用)
http://www.jspm-peace.jp/
凝縮して書くと「全国のがん拠点病院はPEACE資料などを使って医療者向け緩和ケア研修会を開催してね」といった感じです。
で、結構な量であるPEACEプロジェクトの講義用スライド集の中に、補助として緩和的放射線治療の講義用スライドもいくつか混ざっています。
http://www.jspm-peace.jp/data/v3_a/M-3_%E3%81%8C%E3%82%93%E7%96%BC%E7%97%9B%E3%81%AE%E8%A9%95%E4%BE%A1%E3%81%A8%E6%B2%BB%E7%99%82.pdf
なるべくなら全国共通の同じような内容で講義をした方が望ましいのでしょう。
ただ、PEACEの放射線治療スライド集に関しては、私がもし聴講したら睡眠導入剤になってしまいそうな文字ばかりなのです(ごめんなさい)。ということで、PEACEは一部を利用させていただき、地元医療従事者たちのニーズになるべく合うよう写真や図をいろいろ混ぜた自前のスライドを中心にお話しています。
「あんちぴーす」というつもりは毛頭ございません。
もちろん、内容が大きくずれるようなことにはならないよう配慮しているつもりです。代表的な緩和的放射線治療対象である骨転移をはじめ、このブログでもちょくちょくご紹介させていただいたMSCC、腫瘍出血、消化管閉塞、脳転移などなど、いろいろな状態・場面で症状緩和に有効な治療選択肢になりますよ!というお話をさせていただいています。
ぶっちゃけ、このブログを見なおすことで自分自身にも結構勉強になっております(笑)
よくよく聞くと、緩和ケア研修会の講義を担当なさっている他の地域のお知り合いの放射線腫瘍医の方々も私と同じようなスタイルをとられていらっしゃる場合が少なくないようです。
緩和の先生方と違って(?)、放射線腫瘍医って個性的な独り者が多いのか…もしかして、私の知り合いだけ?
類は友を呼ぶ…前にも書きましたっけ??
しかし、今回の研修会は(お知り合いの)ご年配のお医者さんがたくさん参加されていました。最近、がん拠点病院に所属するお医者さんに対する研修会参加が(ほぼ)義務化という厚労省通達がなされたからのようです。
「へ~、この先生もこの研修会をまだ受けていらっしゃらなかったのか~」と思いつつ、短い休憩時間に諸先生方と軽くご挨拶をいたしました。
で、今回の私の講義ですが、最近参加が多かったお医者さん以外の医療従事者向けにスライドを作成していたからか、私の講義が物足りなかったからか、30分枠しかないのに途中からご年配の先生方のまぶたがとても重そうでした…
次回は(また講師としてお呼びいただけるようでしたら)、ご年配の先生方の睡眠導入剤にならないよう、久しぶりに講義スライドを見直してまいります。
今年度は母校の大学病院を含め他の施設で同じようにあと2回も研修会講師としてお招きいただいておりますし。
PEACEスライドがどうのなんて偉そうに書けませんね。申し訳ございませんでした。
| ホーム |