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放射線治療にたずさわっている赤ワインが好きな町医者です。緩和医療や在宅医療、統合医療にも関心があります。仕事上の、医療関係の、趣味や運動の、その他もろもろの随想を不定期に更新する予定です。
『がん粒子線治療、全額保険適用へ 小児と骨、有効性確認で厚労省
2016年1月14日 20時06分

 厚生労働省の先進医療会議は14日、医療費の一部で保険適用が認められているがんの粒子線治療について、小児がんの陽子線治療と手術が難しい骨のがんの重粒子線治療は有効性が示されたとして、全額の保険適用が適当だとの意見をまとめた。

 対象の粒子線治療は、中央社会保険医療協議会(中医協)の議論を経て、4月から保険適用となる見通し。

 日本放射線腫瘍学会は昨年12月、頭頸部のがんや、大きさが5センチ以上の大きな肝がん、手術が難しい肺がんについても、全額を保険適用にするよう求めていたが、先進医療会議は有効性がまだ明確ではないとして、保険適用を見送った。』(共同通信記事)
http://this.kiji.is/60324149722120192?s=f

 昨日の先進医療会議で小児がんの陽子線治療、骨のがんの重粒子線治療の保険適応が決定したようです!
 
 限られた疾患とはいえ、日本放射線腫瘍学会をはじめとする多くの先生方が、そしてもちろん患者さんたちが待望していた粒子線治療の保険診療がついに日本で初めて承認されることになります。日本の放射線治療の歴史の中でも画期的なことだと思います。

 小児腫瘍以外の陽子線治療について来年度以降にどのような診療が可能になるかまだはっきりしていませんが、数年前から粒子線グループの先生方が集まって厚生労働省の担当の方々とも相談しながら国内外に粒子線治療の安全性・有効性を示すため臨床試験をはじめとするいろいろな準備をしています(私も今年度からメンバーに加えていただきました)。その具体的な内容は正式に決定してから(公表されてから)ブログでも話題にさせていただくつもりですが、会議やメール議論で中心となって活動されている先生方はとても大変そうです。うちの施設でもいろいろな準備にとりかかっています。


 いずれは今のX線治療に置き換わり、がん放射線治療の主軸になる可能性が高い粒子線治療。多くの方がより効果的でより副作用の少ない放射線治療がより安価で受けられるような時代が少しでも早く来ることを期待し、もちろんうちの施設・スタッフもご協力をさせていただきます。

 まずは良かった良かった。


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【2016/01/15 20:47】 | 粒子線治療
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