今週、うちの施設でサイバーナイフの運用を開始いたしました。
実は数年前にもサイバーナイフを2台導入する予定だったそうなのですが、(知る人ぞ知る)たまたま薬事法違反があった時でガンマナイフに変更した経緯があったそうなのです。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/03/h0328-4.html
で今回ようやく、元々導入する予定だったもう一つの部屋にサイバーナイフの最新機種M6を設置いたしました。これまでは倉庫状態でした(笑)。
http://www.innervision.co.jp/expo/products/accuray_radiotherapy_cyberknife
当面はこれまでガンマナイフで治療を行っていた小さな脳腫瘍を中心に定位放射線治療を行う予定ですが、いずれは頸部リンパ節転移や肺や肝臓などの体幹部の小腫瘍にも適応範囲を拡大予定しています。高価なコバルト線源の問題で稼働は終了しますが既存のガンマナイフ装置はしばらくそのまま残します。
定位照射装置の展示場化しています。(事務手続きは必要ですが)医療関係者なら基本いつでも見学可能です。陽子線治療装置もBNCT装置もあります。お待ちしております。
サイバーナイフは全国的に脳外科の先生方も積極的に治療に関わっていて、学会や研究会でもいろいろな部位への治療報告がなされています。脳転移など「小さな」脳腫瘍で何カ所もサイバーナイフで放射線治療を行ってもあまり大きな後遺症が出てこないからか、体幹部でも同じように複数カ所のサイバーナイフ治療を行ったり、分割照射が可能だからか結構大きめの腫瘍に対しても脳と同様に数回の小分割照射を大胆に行ったりしているようです。
一般に放射線腫瘍医は、通常のライナックで広い範囲を何週間かかけて正常組織のダメージを気にしながら分割照射を行っていますが、サイバーナイフは主に脳外科の先生は手術で切除するのと似た感覚で組織を叩き潰すような短期間の放射線治療を体幹部腫瘍でも行っているようです。双方の「感覚」は異なる気がします。
小さな腫瘍の場合は容積効果も大きく関係しているのでしょうか、サイバーナイフは神経とか粘膜など危険臓器が高線量域に含まれていなければ体幹部であっても意外に重篤な後遺症は(少)ないらしいです。これは(うちの)陽子線治療でも同様で、再照射だとしても意外に大丈夫みたいです。けっこう人間の身体って強いなと感じています。
だからといってもちろん安全性を担保しているわけでは全くありません。発症確率が少なくても(ご本人の事前承諾なくして)後遺症を発症した場合は大きな問題になります。主治医だからと言って何をしてもいいというものではありません。当然ですが充分慎重に対処することが基本です。動物実験とは違います。
特に肺に関しては低線量域が多いと致命的な放射性肺炎を発症することがあります。当初はかなり安全と考えられていた小さな肺腫瘍に対する定位放射線治療でも致死的肺炎を起こす場合がまれにあります。特に元々間質性肺炎だった方の発症率は高いようです。
肺の患者さんを自分で入院管理を含め最後まで経過観察しない脳外科系のサイバーナイフ施設で、そこそこ大きな数カ所の肺腫瘍にサイバーナイフを行ってしまい致死的な肺炎を発症させてしまったというまことに良くない事例もあったようです。
もっともサイバーナイフに限らず、全肺に回転で低線量被ばくをさせてしまうトモセラピーなどでも同様の報告を学会などで聞くことがあります。特に抗がん剤をすでに投与されていたりする場合の肺の低線量被ばくは要注意です。あっけらかんと「肺炎起きちゃいました」と学会発表していた放射線腫瘍医もいたというとんでもない話を又聞きしたこともありました。
その点、陽子線や炭素イオン線といった粒子線治療はブラッグピークという特徴を活かして肺などの低線量被ばくを激減できるため、高リスク患者さんでも大きな問題なく治療ができるようです。間質性肺炎を併発している肺腫瘍患者さんに対して安全に陽子線治療ができたという論文が最近報告されました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27090216
粒子線治療は高額であることを除けばやっぱり優れた放射線治療だと思います。もちろん100%安全であることを担保しているわけではありませんが。
ちなみに陽子線治療は今年度から全国統一プロトコールで治療が行われます。
せっかく導入したばかりのサイバーナイフなのに今回のブログでは負の側面ばかりを強調してしまった感はありますが、適した病状に対しては優れた威力を発揮することはこれまでの報告からも間違いありません。(保険適応の問題はありますが)脊髄があって充分な放射線治療がしにくい脊椎骨転移などにも大いに役立ちそうです。
安全性には充分配慮しつつ、次はうちの施設における優れたサイバーナイフの治療成果をブログでも報告させていただくつもりです。

実は数年前にもサイバーナイフを2台導入する予定だったそうなのですが、(知る人ぞ知る)たまたま薬事法違反があった時でガンマナイフに変更した経緯があったそうなのです。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/03/h0328-4.html
で今回ようやく、元々導入する予定だったもう一つの部屋にサイバーナイフの最新機種M6を設置いたしました。これまでは倉庫状態でした(笑)。
http://www.innervision.co.jp/expo/products/accuray_radiotherapy_cyberknife
当面はこれまでガンマナイフで治療を行っていた小さな脳腫瘍を中心に定位放射線治療を行う予定ですが、いずれは頸部リンパ節転移や肺や肝臓などの体幹部の小腫瘍にも適応範囲を拡大予定しています。高価なコバルト線源の問題で稼働は終了しますが既存のガンマナイフ装置はしばらくそのまま残します。
定位照射装置の展示場化しています。(事務手続きは必要ですが)医療関係者なら基本いつでも見学可能です。陽子線治療装置もBNCT装置もあります。お待ちしております。
サイバーナイフは全国的に脳外科の先生方も積極的に治療に関わっていて、学会や研究会でもいろいろな部位への治療報告がなされています。脳転移など「小さな」脳腫瘍で何カ所もサイバーナイフで放射線治療を行ってもあまり大きな後遺症が出てこないからか、体幹部でも同じように複数カ所のサイバーナイフ治療を行ったり、分割照射が可能だからか結構大きめの腫瘍に対しても脳と同様に数回の小分割照射を大胆に行ったりしているようです。
一般に放射線腫瘍医は、通常のライナックで広い範囲を何週間かかけて正常組織のダメージを気にしながら分割照射を行っていますが、サイバーナイフは主に脳外科の先生は手術で切除するのと似た感覚で組織を叩き潰すような短期間の放射線治療を体幹部腫瘍でも行っているようです。双方の「感覚」は異なる気がします。
小さな腫瘍の場合は容積効果も大きく関係しているのでしょうか、サイバーナイフは神経とか粘膜など危険臓器が高線量域に含まれていなければ体幹部であっても意外に重篤な後遺症は(少)ないらしいです。これは(うちの)陽子線治療でも同様で、再照射だとしても意外に大丈夫みたいです。けっこう人間の身体って強いなと感じています。
だからといってもちろん安全性を担保しているわけでは全くありません。発症確率が少なくても(ご本人の事前承諾なくして)後遺症を発症した場合は大きな問題になります。主治医だからと言って何をしてもいいというものではありません。当然ですが充分慎重に対処することが基本です。動物実験とは違います。
特に肺に関しては低線量域が多いと致命的な放射性肺炎を発症することがあります。当初はかなり安全と考えられていた小さな肺腫瘍に対する定位放射線治療でも致死的肺炎を起こす場合がまれにあります。特に元々間質性肺炎だった方の発症率は高いようです。
肺の患者さんを自分で入院管理を含め最後まで経過観察しない脳外科系のサイバーナイフ施設で、そこそこ大きな数カ所の肺腫瘍にサイバーナイフを行ってしまい致死的な肺炎を発症させてしまったというまことに良くない事例もあったようです。
もっともサイバーナイフに限らず、全肺に回転で低線量被ばくをさせてしまうトモセラピーなどでも同様の報告を学会などで聞くことがあります。特に抗がん剤をすでに投与されていたりする場合の肺の低線量被ばくは要注意です。あっけらかんと「肺炎起きちゃいました」と学会発表していた放射線腫瘍医もいたというとんでもない話を又聞きしたこともありました。
その点、陽子線や炭素イオン線といった粒子線治療はブラッグピークという特徴を活かして肺などの低線量被ばくを激減できるため、高リスク患者さんでも大きな問題なく治療ができるようです。間質性肺炎を併発している肺腫瘍患者さんに対して安全に陽子線治療ができたという論文が最近報告されました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27090216
粒子線治療は高額であることを除けばやっぱり優れた放射線治療だと思います。もちろん100%安全であることを担保しているわけではありませんが。
ちなみに陽子線治療は今年度から全国統一プロトコールで治療が行われます。
せっかく導入したばかりのサイバーナイフなのに今回のブログでは負の側面ばかりを強調してしまった感はありますが、適した病状に対しては優れた威力を発揮することはこれまでの報告からも間違いありません。(保険適応の問題はありますが)脊髄があって充分な放射線治療がしにくい脊椎骨転移などにも大いに役立ちそうです。
安全性には充分配慮しつつ、次はうちの施設における優れたサイバーナイフの治療成果をブログでも報告させていただくつもりです。

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