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放射線治療にたずさわっている赤ワインが好きな町医者です。緩和医療や在宅医療、統合医療にも関心があります。仕事上の、医療関係の、趣味や運動の、その他もろもろの随想を不定期に更新する予定です。
 大量のヨウ素-131を内服直後の数日間は、使用した食事用容器などにも患者さんの体液(唾液や汗など)が付着するため、使い捨て(紙)容器を使用するなどして、放射性物質汚染に対するしかるべき廃棄処理が必要となってきます。着衣なども残留放射線の量が減るまで、しばらくの間管理区域内にお預かりしたりします。
 甲状腺癌の放射性ヨード内用療法に関するガイドラインでは、「放射性ヨード(131I)の体内残存量を測定器で直接測定し、退出基準(500MBq、1m の距離で30μSv/h)を越えていないことを確認した上で、アイソトープ病室からの退出を許可してください。 持ち帰る所有物はそれぞれ直接測定し、放射線量が汚染のないレベルであることを確認します。」と記載されています。なお、退室基準は法的に決められた数値です。


 で、以前勤務した病院で経験したことなのですが、ある時ヨウ素-131カプセル剤内服直後の患者さんが「水を飲みたい」とナースコールしてきました。たまたまディスポ容器(紙コップ)がなかったようで、新人の看護師さんがその代用としてついうっかりハルンカップに水を入れて、患者さんのところに持って行ってしまったんですね...。ハルンカップを出されたことに患者さんは激怒され、担当医だった私と病棟看護師長と二人で平謝りしに行きました。

 信じられない方も多々いらっしゃると思いますが、病棟などで「普通の」コップがない時にハルンカップにインスタントコーヒーとか入れて飲んだ経験がある医療者は、私を含めて少なくありません。最近はあまりないかな?実際に未使用ならもちろん清潔ですし、意識しなければほとんど普通の紙コップです。すぐ近くにあるし、ストックもあるからこれが結構便利なんですよね。だからあの新人看護師さんもいつもの感覚で(?)使用してしまったのでしょう。
 新聞報道などでいろいろな記事が出たこともあり最近は見聞きしなくなりましたが、昔は病院内で御用納めなどの宴会をすることがたまにありました。その時にはビールや日本酒、ジュースを入れて飲むなどということは(少なくとも私の知っている所では)日常茶飯事でした。患者さんと病院内で杯を酌み交わすなんてこともあった良き(?)時代でした。

 胃のX線造影検査の時に使うバリウムコップを使ったこともあります。まあ、こっちは元々「飲むための」コップだから、ハルンコップと比べれば違和感はいささか少ないのかもしれませんが…。


 写真は「未使用の清潔な」ハルンカップにビールを注いでみました。ご覧の方で不快な気分を感じる方がいらっしゃったら申し訳ございません。もちろん美味しいビールに変わりはありません。
仮にですが「しびん」にビールを注いだらピッチャーのようにもなりえます。噂によるとそんなピッチャーを客に出す居酒屋もあるらしいです(笑)。どう感じるかは別として、清潔ならきっと十分使えるでしょう。私はさすがにしびんをピッチャー代わりにしたことはありませんが...。
 とはいえ、一般の方からしたらハルンカップもしびんもきっと五十歩百歩でしょう。

 「医療界の常識、社会の非常識」と聞いたことがあります。私を含めて医療者ってたぶん、やっぱり変ですよね?


ハルンカップ


(2012.9.xx facebookより加筆修正。前回ブログ「ハルンカップって知ってますか?(1)」も若干修正)


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【2013/02/24 01:14】 | 放射線治療:よもやま話
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ラーメン好き技師141
いやぁ、確かに普通に当放部でも、コップ代わりに活躍してます。検査中等も水飲みたい患者さんいらしゃいますので、無地のコップ用意しておかなくてはいけませんね。慌てて探した経験アリです(^_^;)


JIN
放射線部にあるバリウム用のコップなら許容されるかも?でも、やっぱりさすがにハルンカップはNGですよ。

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コメント
この記事へのコメント
いやぁ、確かに普通に当放部でも、コップ代わりに活躍してます。検査中等も水飲みたい患者さんいらしゃいますので、無地のコップ用意しておかなくてはいけませんね。慌てて探した経験アリです(^_^;)
2013/02/24(Sun) 07:01 | URL  | ラーメン好き技師141 #UbCtKfmc[ 編集]
放射線部にあるバリウム用のコップなら許容されるかも?でも、やっぱりさすがにハルンカップはNGですよ。
2013/02/24(Sun) 07:41 | URL  | JIN #-[ 編集]
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