fc2ブログ
放射線治療にたずさわっている赤ワインが好きな町医者です。緩和医療や在宅医療、統合医療にも関心があります。仕事上の、医療関係の、趣味や運動の、その他もろもろの随想を不定期に更新する予定です。
 放射線腫瘍医側に関しても「主治医(各診療科の専門の先生)のご依頼だから」と安易に同時併用を承認している話を聞くことがあります。でも実は、相手の診療科の先生も「放射線腫瘍専門医もOKしてくれているし」とか「たぶん大丈夫でしょう」という意識を持っている恐れがあったりします。ちなみに、これまで私が化学療法の内容照会でお問い合わせし、そうお答えになった先生は何人かいらっしゃいました。そのような確認をしなければ、両者ともに責任転嫁状態で抗がん剤という猛毒が根拠あいまいなまま患者さんに投与されたことになっていたわけで…。


 ○○大学病院だから大丈夫とか××センターの先生だからと鵜呑みにせず、自分自身であまり知識のない、あるいは経験のない薬剤と組み合わせで放射線治療を依頼された場合には、(当たり前だろと言われそうですが)可能な限り過去の報告を確認すべきだと思います。「その論文って改ざんでは?」とかまで考え出すと、何を信じていいのか全くわからなくなりますが。
 重鎮のような有名な先生が意外にくせ者(自分の思いつき指示)だったりすることもあります。もちろん実臨床では、臨床試験のような細かな規定に合致して治療を行うことばかりではなく、臨機応変に対応せざるを得ないケースも正直ありえます。これについてはまた別の機会に独り言を…。

 今は分子標的薬剤が次々と承認されるご時世です。これらも放射線治療の併用、特に臨床試験などで安全性の確認が充分になされていないものは仮に緩和照射であったとしても特に同時併用は慎重を期すべきです(と偉い先生方もよく言っておられます)。

 本当は、どの施設・どの診療科でも個々のがん診療内容のダブルチェックがなされるべきなのでしょうが、必ずしも全例に行われているとは言えないのが現状です。運用面など課題は多々ありますが、本質的な診療内容確認に関する第三者機関の関与があってもいいのではないかと個人的には思っています。

 繰り返しますが、プロとして仕事をしている(≒それなりのお金をいただいている)放射線腫瘍専門医ならば、「相手の言いなり」「なんとなく」の治療は避けるべきかと。よくわからない方針で依頼された症例がいたら、せめて要約だけでもいいから過去の報告を確認したほうがいい。たとえ依頼相手が各診療分野の専門医だとしても患者さんのために、そして自分のためにも。


 ついでにあえて書くと、たとえ患者さんであっても自分の治療方針を医者に全て丸投げ任せきりというのはいかがなものかと思っています。素人だからわかるわけがないという意見はもちろんあるでしょうが、上記のようにいいかげんな医者に「なんとなく」設定されてしまうケースは少なくありません(たぶん)。
 このご時世、セカンドオピニオン外来を利用する、自分でネットなど診療内容を自分なりに確認する、など自ら動いて確認を試みる手段はいろいろあります。もちろんセカンドオピニオンはあくまで参考意見で主治医に対する強制力はありませんし、ネット情報は過多で真偽もはっきりしないのが難点ではあります。とはいえ、がん治療というのは命がかかった人生の選択であるわけですから、治療をするかしないかという大きな選択を含めて、わかりにくいなりにも可能な限り自分で納得のいく調査をしたほうがいいと思っています。


 申し訳ありませんが、かくいう私も最初からそんな風に考えていたわけではありません。これまで多くの患者さんや先生方から学ばせていただいた経験や知識を今の自分なりにブログとしてまとめたに過ぎません。また、「では、今お前は充分な対応ができているのか?」の問いに「はい」と言い切れる自信もぶっちゃけありません。
 ただ、もしこれまでそう気づいていなかった、あるいは思っていても「なんとなく」続けてしまっていた医療者や患者さんがおられて、このブログが何らかの参考になるのであれば本望と思い、投稿いたしました。


 忌憚なきご意見、お待ちしております。


関連記事
スポンサーサイト




【2013/03/12 22:44】 | 放射線治療と薬
トラックバック(0) |
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック