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放射線治療にたずさわっている赤ワインが好きな町医者です。緩和医療や在宅医療、統合医療にも関心があります。仕事上の、医療関係の、趣味や運動の、その他もろもろの随想を不定期に更新する予定です。
 今年(2013年)度中に新しい放射線治療装置とPET-CTがうちの病院に導入されるとあって、今回なんと5名もの新人(+1名の実力派)診療放射線技師さんが新採用となりました。全員国家試験も無事合格して、今週から勤務しています。
 私がお医者になってから四半世紀近く経ちますが、新しくできた病院でもない所にこんなに新人さんが同時採用になったのはたぶん初めてかも(大学病院の時にあったかな…?)。しかも正職員で!
 
 職場内もなんとなく爽やかで緊張感ある空気がただよっていて、いい感じです。


 私はこれまでいくつかの病院で一人常勤または非常勤放射線腫瘍医として長年勤務してきましたが(某大学時代は4年弱しか大学にいなかった地方巡業メンバー)。そこで常々大きな課題の一つと感じてきたことはスタッフの入れ替えがないことによる「空気の澱み」でした。
 
 医者は私のように医局人事でころころ異動があるため適度に人の入れ替えがあり(まあこれも善し悪しですけど)、また同じ病院内とはいえ看護師さんたちも定期的に異動があるわけですが、診療放射線技師さんは一度病院に入職すると一生そこで移動なしという場合が少なくありません。元々はきっとやる気も元気も能力もある方々だったはずなのに、公務員的な職場環境の影響なのか年齢を重ねるごとに気力(や体力)が低下してしまい、家庭や趣味のご都合などもあいまって、9時5時&必要最低限業務を順守する方が次々と育成されてしまうところを目の当たりにしてきました。

 もちろんそうでない方々も多々知っています(そちらのほうがずっと多い!と、信じてます)。まあ別に、ご本人だけの問題なら人それぞれの価値観ですしある意味仕方ないとは思うのですが、せっかくやる気満々で仕事をしている、あるいはしたいと思っている若手有望株の努力や気力まで「先輩」の言動で潰しにかかってしまうケースが少なからずありました。タチが悪いことにご本人が気づかずにそうなっている場合もあり…。
 こういう空気が蔓延している環境で惰性の業務をしていると、新たな装置等が導入された時などにいろいろな業務チェック機構が効きにくくなり、積もり積もって種々のトラブルが起きやすい雰囲気になるということを肌で感じてきました。これに関しては私を含めてそれ以外の問題もいろいろありますが…。

 (同世代の方にしか通じないかもしれませんけど)初期の頃の『3年B組 金八先生』というTVドラマ内でも話題になった『腐ったみかんの法則』という表現があります。クラスの中の生徒の一人がぐれてしまうと、周りの生徒に波及してクラス全体がぐれてしまうということを、みかん箱の中で一つのみかんが腐ることで周りのみかんをどんどん腐らせていくという様に例えたやつです。これは大人になってもあるんだな、ということを時々実感してきました。
 ただ、その逆パターンもまたあり、バイタリティーあふれる人(私ではありません…)が来て職場内の空気が少しずつ別の方向に変化していく、というのも経験しました。類は友を呼ぶというか、朱に交われば赤くなるというか。どこの集団でも同じようなことは起きているのでしょうね。


 せっかく若くて元気な新人さんがたくさん入ってきたのに、不謹慎というか興ざめというか、不相応な去年のフェイスブック修正投稿を持ち出してきてしまったかもしれません。うちの治療スタッフはみなさん日々頑張ってくださっていますし、創意工夫で業務効率を改善して「無駄に」夜遅くまで仕事を持ち越すこともあまりありませんし(医者の業務効率は棚に上げ…)、でも時間外の緊急照射には即座に対応してくれるし、今の私は(お世辞抜きに)恵まれた環境にいると思います。

 とはいえ、やっぱり慣れた環境にこもってしまうと、だんだん見えなくなってしまうことが少なくありません。多少の空気というか、場合によっては血の入れ替えは必要でしょう。そういった点で、今回の新人さんたちには元気な新しい風をどんどん吹き込んでいただいきたいと期待してますし、より活気ある職場になっていけばいいな、と個人的にも大いに楽しみにしています。


 私もただの傍観者になっていてはいけない!

 若手の意欲を潰さないように…いや、元気をもらいにいかないと…。



(2012.7.xx facebookから一部引用)

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【2013/04/03 20:28】 | 医療全般
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