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放射線治療にたずさわっている赤ワインが好きな町医者です。緩和医療や在宅医療、統合医療にも関心があります。仕事上の、医療関係の、趣味や運動の、その他もろもろの随想を不定期に更新する予定です。
 先日、うちの病院にダ・ヴィンチのデモ機が来て、私も遊ばせてもらいました。最新鋭の体感ゲーム機を操作しているみたいで、とても楽しかったです。噂によると外科系学会のブースでは順番待ちがあるそうですが、今回は結構空いてました。
 うちの病院の先生たちはあまり関心がないのか?それともすでにどこかで並んでお試し体験が終わっていた人たちばかりなのか??業務が忙しすぎて体感する時間などとても確保できなかったか???
 私の場合は下の先生が事前予約しててくれてたので、偉そうなことは書けないのですけれど…

【Wikipediaより引用】 
 ダ・ヴィンチ(da Vinci)とは、米国インテュイティヴ・サージカル社が開発したマスタースレイブ型内視鏡下手術用の医療用ロボットのda Vinci Surgical System(ダ・ヴィンチ・サージカルシステム、ダ・ヴィンチ外科手術システム)のこと。内視鏡下手術用ロボットの代表であり、患者への低侵襲な手術を可能にする。2000年7月にアメリカ食品医薬品局(FDA)より承認。日本では2009年に厚生労働省薬事・食品衛生審議会で国内の製造販売が承認された。日本では大阪市に本社を置く医療専門商社の株式会社アダチが総代理店を務める。


 ダ・ヴィンチの登場で、技術的には手術を遠隔操作でもできるような時代になりました。外科医ではないのでよくわからない部分がありますが、インターネットにつなげば誰でも操作ができてしまうので、遠方にいる有名な外科医、いや医師の名を借りた素人代行が手術をすることも物理的には可能です。
 まあ、実際のところ現行のダ・ヴィンチは手術室内でしか操作できない仕様になっているし、医療や倫理上の諸問題が多すぎて海外でも「遠隔」手術は行われていないとのことですが…。

 一方、インターネットや電話を利用した遠隔診療支援は、病理や放射線画像そして僻地診療での問診など診断部門ではすでに国内でも普及し、一部ビジネス化(クリニック開業など)しています。実は放射線治療計画も技術的にはコンピュータでの遠隔操作ができるので、遠隔放射線治療計画支援用の商品というものも国内販売されています。

 放射線治療計画を遠隔支援で行うことに関しては、医師法第20条 無診療治療等の禁止など、画像診断と同じレベルで扱うことが困難な部分があります。日本放射線腫瘍学会では平成22年に遠隔放射線治療計画ガイドラインを公認し、HP上でもPDFファイルをダウンロードできるようになっています。
http://www.jastro.or.jp/guideline/

 現状における日本の遠隔放射線治療計画支援というのは、今の所は非常勤支援施設に対する支援、または専門医ではない放射線腫瘍医に対する補助的支援が主体かと思われます。
 臨床試験などのデータ集積・解析、施設間の治療内容相互チェック、医療スタッフに対する教育・訓練を行うことも広義の遠隔放射線治療計画支援に含まれ、臨床試験でのデータ集積は最近オンライン登録もなされるようになってきています。直接患者さんの治療には影響しないし、診療内容の質的均てん化の面で今後が期待される部分です(と数年前から思いながらも、なかなか普及していないのですが…)

 
 いずれにせよ、コンピュータの裏で困っているのは生身の病んだ人間(患者さん)です。「コンピュータ(≒治療計画)は好きだけど人を診るのは嫌い」という若手放射線腫瘍医が増えないことを祈っている、PC操作がさほど得意でないオヤジ医師でした。



【追記】
「放射線腫瘍医を生めや増やせや」と日夜頑張っておられるJASTROの諸先生方には、最後の文章は不快かもしれません。「お前だって人がいなけりゃ困るだろ!」…その通りでございます。

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【2013/05/19 00:01】 | 放射線治療計画
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