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放射線治療にたずさわっている赤ワインが好きな町医者です。緩和医療や在宅医療、統合医療にも関心があります。仕事上の、医療関係の、趣味や運動の、その他もろもろの随想を不定期に更新する予定です。
 少し前のことになりますが、うちの病院に今度導入予定している特殊な高精度放射線治療装置の実習のために、東京都立駒込病院さんを数日間訪問し実りある研修(といろいろな懇親会)をさせていただきました。この場をお借りして、改めて御礼申し上げます。
 駒込病院さんには、Vero 4DRT/MHI-TM2000、CyberKnife、TomoTherapyといった最先端のX線治療装置がいろいろ設置されていて、まるで学会展示場のよう。もちろん見学(そして記念撮影も)させていただきましたけれど、同業者としては何ともうらやましい限りでした。

 これらの高精度放射線治療装置はみな、治療台の上でCTなどを撮影してがん病巣を画像で「直接」確認しながらより正確に放射線を照射できる優れもの技術を搭載しています。画像誘導放射線治療(Image-Guided RadioTherapy: IGRT)って表現しています。
 IGRTについては、私もそのうち気が向いたら何かブログに投稿するかもしれませんけど、とりあえずきちんとした内容はネットや書物などでご確認ください。


 普通の(という表現が良いかは不問で…)放射線治療を行う際には、ほとんどの患者さんに対して治療位置確認のため、事前に治療位置近傍の皮膚面にマジックやインクなどで線などの印を書かせていただき、治療期間中その印を保持します。頭や首などの治療ではお面をつけたりするので直接身体に印をつけなくても済むのですが、やはりお面には書きます。

 昨年のうちの病院での出来事なのですが、元々の皮膚病などの影響があって放射線治療に必要な皮膚の印がすぐに消えてしまうため、毎日の放射線治療に苦労していた患者さんがいらっしゃいました。何か良い工夫はないものかと全国他施設の放射線治療の諸先生にメーリングリストなどでお問い合わせをしましたところ、刺青(いれずみ=皮膚への色素注入)はどうかとのアドバイスもいただきました。

 私がまだ放射線腫瘍医になりたての頃、とある病院で当時の上司に指示を受け言われるがまま注射器を使って皮膚に色素注入をした経験はありました。ただ最近は、下手に人様の身体へ「勝手なこと」をするのはいけないと指摘されそうなご時世ですし、医療行為として大丈夫なのかいささか不安があったので、去年受け持った患者さんに関しては、日々のこまめな注意で従来の皮膚マークのままでなんとか治療を乗り切りました。


 その後、私の友人のFacebookでたまたま刺青の話題があり、そこで関西のある先生から、すでに平成13年に「医師でなければ保健衛生上危害の生ずるおそれのある行為であり、医師免許を有しない者が業として行えば医師法第17条に違反するものとして『針先に色素を付けながら、皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為』がある」との厚生労働省からの通達(医政医発第105号)が出ているという情報を教えていただきました。
 つまり、医師なら合法的に他人の身体に刺青をいれてよいと国が認めているということになるようです。照射範囲の印しつけに関しても同様に。
 もし解釈が間違っていたら何とぞ教えてください。m(_ _)m


 IGRT技術はどんどん進化していますので、将来は皮膚に刺青はおろか、マジックなどの印をあえてつける必要などなくなる時代が来るのかもしれませんが、今の所は残念ながらまだのようです。あの駒込病院さんですら、必要に応じて印を身体に書いていましたし。


 しかし、刺青って医者の資格もっている人なら他人につけてもOKとはね~~~。副業になるかな?(冗談です)



刺青厚労省通知
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【2013/05/24 19:56】 | 放射線治療:機器・技術
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