ナンセンス【nonsense】
[名・形動]意味をなさないこと。無意味であること。ばかげていること。また、そのさま。(goo辞書より)
以前に脊椎に転移のある某がん患者さんに対する放射線治療依頼がありました。これまで化学療法が行われてきて、外来治療で他病巣は小康状態を保っていたようなのですが、骨転移が出現しました。
その方を最初に外来診察したのは私ではなかったのですが、自分の治療のことをいろいろと調べられる患者さんで、今回の骨転移以前にも粒子線治療の相談に県外へ出向いたことがあったようです。その時は全身の治療を優先ということで粒子線治療は実施されませんでした。
最初に担当した放射線治療科の先生との診察で、標準は数回の放射線治療というお話などをしたうえで、患者さんからまた粒子線治療の話が出たようです。その先生から私にも相談があり、再度患者さんにお話を伺いましたが、やはり可能なら受けてみたいとの希望でした。粒子線治療に関しては全額負担の先進医療なので300万円実費でかかるのですが、経営者の方で金銭的なことは問題なさそうな口調でした。
正直、粒子線治療まではどうかな…と私も感じてはいましたが、ご本人の希望が結構ありましたし、少し痛みはありましたが切迫骨折や脊髄圧迫がすぐに来る病状でもなかったので、ご本人の納得が得られるならばと「まずはセカンドオピニオン的に受診すればいいのではないですか」ということになりました。
で、その日は治療計画なし。その旨を担当診療科の先生にもお伝えいたしました。
しかしその日の夜、最初に担当した放射線腫瘍医の所に電話で主治医の先生から「nonsense」というコメントと共に当院での放射線治療をお願いしますとの連絡がありました(と聞きました)。私は出張で不在でしたが、粒子線治療施設への受診は結局キャンセルとなり、翌日に改めて放射線治療計画となりました。患者さんがご納得されたのかは定かでありませんでしたが、主治医側に説得され患者さんも当院での治療に同意されたようです。
冷静な医療者の立場から見たらnonsenseという意見は正しいとする方がたぶん多いのかもしれません。しかし患者さんが実際に粒子線治療施設を受診して「適応外」と説明を受ければ、よりご納得の程度も深まったようにも思ったのですが…。「適応有」ならなおさら。治療中に業務出張で数百キロ先の東京まで出かけられる体調の患者さんでしたし。
専門家がナビゲート(≒誘導)してやらないと患者さんが迷うから駄目とおっしゃる先生もいらっしゃいますが(それはそれで一理はあり)、標準治療だけの世界ではないのでは?
元々予定していた標準治療を提供することや、ずっと診てもらっている担当科の先生とのお話をご了承されたこともあり、再び差し戻すとかえって患者さん自身が混乱しそうだったから、そのまま当院で照射ということになりました。
医者によっていろいろな考え方があるように、患者さんにもそれぞれに希望や価値観があり、その方の「気持ち」としては粒子線治療の選択肢はnonsenseではなかったのではないか?たしかに高価ですが、車一台購入と考えれば不可能な額ではありませんし、特にその方は問題なさそうでしたから。もちろんそもそも適応があると判断されるかはわかりませんが、骨転移だから照射期間もさほど化学療法に影響の出る範囲ではなかったようですし、セカンドオピニオン受診くらいはあってよかったのでは?と思いました。
逆にいつまでもダラダラ続ける化学療法自体が「nonsense」だと、堂々と本に書いたりコメントをされている先生がたもいらっしゃいますね…。
真偽はよくわかりません。
[名・形動]意味をなさないこと。無意味であること。ばかげていること。また、そのさま。(goo辞書より)
以前に脊椎に転移のある某がん患者さんに対する放射線治療依頼がありました。これまで化学療法が行われてきて、外来治療で他病巣は小康状態を保っていたようなのですが、骨転移が出現しました。
その方を最初に外来診察したのは私ではなかったのですが、自分の治療のことをいろいろと調べられる患者さんで、今回の骨転移以前にも粒子線治療の相談に県外へ出向いたことがあったようです。その時は全身の治療を優先ということで粒子線治療は実施されませんでした。
最初に担当した放射線治療科の先生との診察で、標準は数回の放射線治療というお話などをしたうえで、患者さんからまた粒子線治療の話が出たようです。その先生から私にも相談があり、再度患者さんにお話を伺いましたが、やはり可能なら受けてみたいとの希望でした。粒子線治療に関しては全額負担の先進医療なので300万円実費でかかるのですが、経営者の方で金銭的なことは問題なさそうな口調でした。
正直、粒子線治療まではどうかな…と私も感じてはいましたが、ご本人の希望が結構ありましたし、少し痛みはありましたが切迫骨折や脊髄圧迫がすぐに来る病状でもなかったので、ご本人の納得が得られるならばと「まずはセカンドオピニオン的に受診すればいいのではないですか」ということになりました。
で、その日は治療計画なし。その旨を担当診療科の先生にもお伝えいたしました。
しかしその日の夜、最初に担当した放射線腫瘍医の所に電話で主治医の先生から「nonsense」というコメントと共に当院での放射線治療をお願いしますとの連絡がありました(と聞きました)。私は出張で不在でしたが、粒子線治療施設への受診は結局キャンセルとなり、翌日に改めて放射線治療計画となりました。患者さんがご納得されたのかは定かでありませんでしたが、主治医側に説得され患者さんも当院での治療に同意されたようです。
冷静な医療者の立場から見たらnonsenseという意見は正しいとする方がたぶん多いのかもしれません。しかし患者さんが実際に粒子線治療施設を受診して「適応外」と説明を受ければ、よりご納得の程度も深まったようにも思ったのですが…。「適応有」ならなおさら。治療中に業務出張で数百キロ先の東京まで出かけられる体調の患者さんでしたし。
専門家がナビゲート(≒誘導)してやらないと患者さんが迷うから駄目とおっしゃる先生もいらっしゃいますが(それはそれで一理はあり)、標準治療だけの世界ではないのでは?
元々予定していた標準治療を提供することや、ずっと診てもらっている担当科の先生とのお話をご了承されたこともあり、再び差し戻すとかえって患者さん自身が混乱しそうだったから、そのまま当院で照射ということになりました。
医者によっていろいろな考え方があるように、患者さんにもそれぞれに希望や価値観があり、その方の「気持ち」としては粒子線治療の選択肢はnonsenseではなかったのではないか?たしかに高価ですが、車一台購入と考えれば不可能な額ではありませんし、特にその方は問題なさそうでしたから。もちろんそもそも適応があると判断されるかはわかりませんが、骨転移だから照射期間もさほど化学療法に影響の出る範囲ではなかったようですし、セカンドオピニオン受診くらいはあってよかったのでは?と思いました。
逆にいつまでもダラダラ続ける化学療法自体が「nonsense」だと、堂々と本に書いたりコメントをされている先生がたもいらっしゃいますね…。
真偽はよくわかりません。
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