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放射線治療にたずさわっている赤ワインが好きな町医者です。緩和医療や在宅医療、統合医療にも関心があります。仕事上の、医療関係の、趣味や運動の、その他もろもろの随想を不定期に更新する予定です。
 放射線治療で利用する放射線の種類にはいろいろありますが、主流はX線です。そして大半の病院に設置されている放射線治療装置をLinear accelerator(日本語で直線加速器)といいます。原理を簡単に書くと、直線の特殊な磁石の中で加速した電子を金属にぶつけてがん治療用のX線を発生させる装置です。
 「Lin」ear 「ac」celeratorの両者の頭をとってLinacと略し、一般にライナックと呼んでいます。

 また、別の呼び方として「リニアック」とも呼んでいます。教科書や全国の有名病院放射線治療科のHPなどでもLinacのことを「リニアック」と普通に紹介しています。

 ところでLinacって「リニアック」と英語で読めるのでしょうか?


 ライナックはそのまま読めそうです。(私の周りの日本の先生にはあまりいないのですが)リーナックと呼んでいる先生も多いそうです。まあ、Linacですからリーナックとも読めますね。
 Wikipediaの加速器の説明で『リニアック(lineac)とも呼ばれることがある』と書いてありましたが、これは正しい?? ちなみにlineacだとGoogle検索では見つかりません。医学論文検索サイトのPubmedではlineacという単語でも論文が僅かにありますが、linacで見つかる論文数の比ではありませんでした。Linearの耳(ear)を隠しつつ読むなら、リニアックでいいのかも?


 少し調べたところ、「実を言うとライナック又はリニアックというのは各々直線加速器製造会社の商品名なのです。しかし略称としては言い易く、他にピッタリした言い方もないので、どの会社の装置も全部ライナックなどと呼んでいるのが現状」という、当時名古屋大学医療技術短期大学部教授の小畑康範先生による報告がありました(1994年10月発刊の健康文化)。
http://www.kenkobunka.jp/kenbun/kb10/obata10.pdf

 また、私のお知り合いの(元?)業者さんからは、『昭和30年代後半にNECがVarian製品を輸入・販売した時に装置の名称を”リニアック”としたのがはじまりだと思います。もう一昔も二昔も前の話になってしまいますが、三菱マシンをお使いの施設は”ライナック”と呼んでおられました。NECや東芝のマシンをお使いの施設は”リニアック”と呼んでおられました。その名残だと思われます。』という情報もいただきました。


 繰り返しになりますが、ライナック・リニアック両方の呼称があることはたしかです。でも「Linacがリニアックという呼び方で正しいのかどうか」は、知識不足の私はいまだによくわかりません。海外の書籍や○×歴史館とかに何か記録があるのかもしれません。(ご年配の)先生方で知っておられる方がいるかもしれません。
 
 もしご存知の方がいらっしゃったら、私のためにいつかどこかで教えてください。どうでもいいことと言われれば、その通りかもしれませんが(笑)


 似たような話をついでに…

 放射線治療の準備をする装置のことをシミュレーターといいます。これをシュミレーターと呼ぶ方がいらっしゃいます。シュミのほうが日本語として言いやすいけど(?)、さすがにこれは間違いでしょう。最近は減ったとは思うのですが(?)、病院内の掲示などに堂々とシュミレーター室と記されている施設もあります。

 整形外科領域ですが、ギプス(Gips)をギブス(Gibs)と間違える方もいらっしゃいますね。

 かなり昔に私が勤務した病院で、吸入器(ネブライザー:nebulizer)のことをネ「プ(pu)」ライザーと多くの看護師さんが呼び、公式文書のカルテにもたくさん記されていましたこともありました。私が「違う」と言っても頑として変わらず、途中からどうでもよくなりました。もちろん私はネブライザーと書いてましたが。
 どの病院かは忘れましたが、その後直ったのかなぁ?


 ま、シュミでもギブスでもネプでも「わかればいい」と言われればそれまでです。仮に誤表現だったとしても、みんなが呼べばいつしか正しくなってしまう(≒一般的になる)のが言葉というものなのでしょうし?

 あと、言葉尻をとらえ過ぎると(特に看護師さんたちに)嫌われます……経験談です。


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【2013/08/16 16:58】 | 放射線治療:機器・技術
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