先週末、数年間所属していた某大学の放射線科医の会という勉強会に久しぶりに参加してきました。あの大雪の日です。
毎年、放射線治療&診断の分野で著名な講師をそれぞれお招きして、特別講演2題を拝聴します。大学同門の放射線科医限定の勉強会なのですが、いつも大変お勉強になるご講演が多いです。
で、今年はというと、治療が東京大の中川恵一准教授による「画像誘導高精度放射線治療の歴史と現状」、診断が藤田保健衛生大の片田和広教授による「面検出器CTの新たな話題」というご講演でした。お二方とも、放射線装置の開発・研究に長年携わってこられ、その労苦も垣間見させていただき、期待通りの内容でした。
中川先生が主にご講演された画像誘導放射線治療(Image-Guided RadioTherapy: IGRT)というのは、放射線治療装置に内蔵あるいは併設されたCTやX線透視などを使い、がん病巣を直接画像表示しながらより正確に放射線照射を行う技術です。
「照射直前または最中に病巣を直接表示できる」という点では優れものの技術なのですが、現実には身体の動きをリアルタイムに制御する点など、まだまだ改良の余地が多々ある領域で、今も世界中の専門家・企業がいろいろな研究・開発を行っています。
どの領域も同じでしょうが、放射線治療装置・技術の開発にも産学連携、つまり企業の協力が必要です。一時期、放射線治療の国産企業がパッとしなくなり、外国産装置のシェアがどんどん拡大していました。やっぱり日本人なので、少し寂しい部分がありました。
最近また、粒子線治療装置やVero 4DRTという高精度X線装置など、国産の優れた放射線治療装置が市場を賑わわせてきています。海外にも販売されているようで、これからが楽しみです。
と書いたものの、実はうちにある放射線治療装置、全部外国産です。申し訳ございません…
片田先生のお話も、興味深く拝聴しました。面検出器CTとは、脳や心臓の全域が1秒未満であっという間に撮影できる320列CTを指すそうです。国産企業との共同開発で普及し、最近ではその技術を有名外国企業も採用したとのこと。
このCTを使うと、体内の動きも綺麗な動画で瞬時に撮像・可視化できるそうです。片田先生がスライドで紹介された、マウスが水分を飲み込んで口から胃腸に流れる体内の様子はリアルそのものでした。これは放射線治療にも利用できそう(?)
実はうちにある放射線治療計画用CT、同じ国産メーカーです。機種が違うので、面検出器CTではないらしいのですが…
中川先生も片田先生も、簡単に書くと放射線装置を使って体内の動きをどう画像化するかというお話でした。ここは放射線治療も放射線診断も未知なことが多き領域ですが、今後の技術開発が進めばこれまでにない画期的な放射線装置が出てきそうな気がします。
私が定年を迎えるまでのあと10数年でどこまで進歩するだろう? …他力本願ですね。
すでに市販されている放射線装置やアプリケーションを使って臨床あるいは基礎研究をすることだってやる気や興味(やお金)がなければ簡単にはできませんが、装置・ソフトそのものから創り上げるというのは並大抵のことではないと思います。「大学というのはそういう所だ」というご意見もありましょうが、(普通の)大学病院のお医者さんというのは、学生さんたちの教育・指導や日常臨床業務や様々な会合もあり、それだけでも大変です。
もちろんヒト、カネ、モノがある程度そろわないといけませんが、それをそろえる努力も当然必要なわけで。
ご講演の質疑応答では、上司の某先生が「言われるままの仕事(=研究や臨床)をするだけじゃなく、君たちも見習うように!」と、若い医局の先生方に一喝して…いや、プレッシャーをかけて…いや、檄を飛ばしていらっしゃいました。 みんな、頑張ってね~!
って、大学から離れて負担がいくつも取り除かれた生活を送る私が偉そうに書けることではありませんかね?
この会ですが、見渡すと参加者がすっかり若返っていました。約10年前、私が初めてこの会に参加した時の少数医局員はほとんど不在。きくりん、あっちゃん、はなわさん、ほんませんせ、みんな外の病院に出たのですねぇ。
時が経つのは早いものです。
あの時代はとっても大変でしたね。
毎年、放射線治療&診断の分野で著名な講師をそれぞれお招きして、特別講演2題を拝聴します。大学同門の放射線科医限定の勉強会なのですが、いつも大変お勉強になるご講演が多いです。
で、今年はというと、治療が東京大の中川恵一准教授による「画像誘導高精度放射線治療の歴史と現状」、診断が藤田保健衛生大の片田和広教授による「面検出器CTの新たな話題」というご講演でした。お二方とも、放射線装置の開発・研究に長年携わってこられ、その労苦も垣間見させていただき、期待通りの内容でした。
中川先生が主にご講演された画像誘導放射線治療(Image-Guided RadioTherapy: IGRT)というのは、放射線治療装置に内蔵あるいは併設されたCTやX線透視などを使い、がん病巣を直接画像表示しながらより正確に放射線照射を行う技術です。
「照射直前または最中に病巣を直接表示できる」という点では優れものの技術なのですが、現実には身体の動きをリアルタイムに制御する点など、まだまだ改良の余地が多々ある領域で、今も世界中の専門家・企業がいろいろな研究・開発を行っています。
どの領域も同じでしょうが、放射線治療装置・技術の開発にも産学連携、つまり企業の協力が必要です。一時期、放射線治療の国産企業がパッとしなくなり、外国産装置のシェアがどんどん拡大していました。やっぱり日本人なので、少し寂しい部分がありました。
最近また、粒子線治療装置やVero 4DRTという高精度X線装置など、国産の優れた放射線治療装置が市場を賑わわせてきています。海外にも販売されているようで、これからが楽しみです。
と書いたものの、実はうちにある放射線治療装置、全部外国産です。申し訳ございません…
片田先生のお話も、興味深く拝聴しました。面検出器CTとは、脳や心臓の全域が1秒未満であっという間に撮影できる320列CTを指すそうです。国産企業との共同開発で普及し、最近ではその技術を有名外国企業も採用したとのこと。
このCTを使うと、体内の動きも綺麗な動画で瞬時に撮像・可視化できるそうです。片田先生がスライドで紹介された、マウスが水分を飲み込んで口から胃腸に流れる体内の様子はリアルそのものでした。これは放射線治療にも利用できそう(?)
実はうちにある放射線治療計画用CT、同じ国産メーカーです。機種が違うので、面検出器CTではないらしいのですが…
中川先生も片田先生も、簡単に書くと放射線装置を使って体内の動きをどう画像化するかというお話でした。ここは放射線治療も放射線診断も未知なことが多き領域ですが、今後の技術開発が進めばこれまでにない画期的な放射線装置が出てきそうな気がします。
私が定年を迎えるまでのあと10数年でどこまで進歩するだろう? …他力本願ですね。
すでに市販されている放射線装置やアプリケーションを使って臨床あるいは基礎研究をすることだってやる気や興味(やお金)がなければ簡単にはできませんが、装置・ソフトそのものから創り上げるというのは並大抵のことではないと思います。「大学というのはそういう所だ」というご意見もありましょうが、(普通の)大学病院のお医者さんというのは、学生さんたちの教育・指導や日常臨床業務や様々な会合もあり、それだけでも大変です。
もちろんヒト、カネ、モノがある程度そろわないといけませんが、それをそろえる努力も当然必要なわけで。
ご講演の質疑応答では、上司の某先生が「言われるままの仕事(=研究や臨床)をするだけじゃなく、君たちも見習うように!」と、若い医局の先生方に一喝して…いや、プレッシャーをかけて…いや、檄を飛ばしていらっしゃいました。 みんな、頑張ってね~!
って、大学から離れて負担がいくつも取り除かれた生活を送る私が偉そうに書けることではありませんかね?
この会ですが、見渡すと参加者がすっかり若返っていました。約10年前、私が初めてこの会に参加した時の少数医局員はほとんど不在。きくりん、あっちゃん、はなわさん、ほんませんせ、みんな外の病院に出たのですねぇ。
時が経つのは早いものです。
あの時代はとっても大変でしたね。
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