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放射線治療にたずさわっている赤ワインが好きな町医者です。緩和医療や在宅医療、統合医療にも関心があります。仕事上の、医療関係の、趣味や運動の、その他もろもろの随想を不定期に更新する予定です。
 昨日もまた雪が降り交通網が乱れる中、うちの病院で年1回の院内フォーラム(各部署の研究・調査などの発表会)が無事開催されました。

 今回のフォーラムでは朝一番のセッションで私の発表が組まれていたのですが、前日からの予報が暴風雪で自宅も病院も駐車場が大変なことになりそうだったし、電車も使えないだろうし、そして何よりソチオリンピック男子フィギュアフリーを深夜に観たかったので(羽生君、金メダルおめでとう!)、遅刻しないように院内の「簡易仮眠室」で過ごしました。

 羽生君の金メダルが決まり気分が高揚してなかなか寝つけないでいたら、外では重機を使って病院の駐車場の除雪作業が始まってました。明け方にまた積もってはいましたが、除雪してなかったら院内駐車場はきっとアウトだったでしょう。
 深夜の作業、寒いなか大変ご苦労様でした!


 今回の私の発表演題名は「診療報酬から見た最近の外部放射線治療実績」でした。

 約1年前のこのブログでも触れましたが、最近の放射線治療分野の診療報酬(=国が決めたお値段)は、お役人様方と交渉される先生方のご尽力のおかげで改定毎に右肩上がりとなっています。
 そのおかげで、高額で購入・維持費が大変な放射線治療機器にもかかわらず、普通に1日20名以上の患者さんを治療すれば病院として充分採算が見込める部門になりました。来年度からの改定で放射線治療部門はほぼ横ばいのようですが、全体がマイナス査定ということを考慮するとぜいたくは言えませんかね?

 現在の病院に着任してまもなく3年になるのですが、病院全体の医業収益に占める自部門の割合・立ち位置を改めて確認し(、そして病院スタッフにも示し)たかったのと、今後の放射線治療機器更新の際の資料にもなればと思いまして、今回の発表をしました。
 調査結果ですが、近隣施設に新たな放射線治療装置が導入された年などを除き、ここ数年はやはりうちの病院も放射線治療部門は右肩上がりの収益増でした。今後は単価もお高めなIMRTなどの高精度放射線治療を積極的に導入する方針なので、さらに収益は増加しそうです。具体的な数字を書くと問題になりそうなので、ここでは伏せておきます。
 私以外の演題は、研究とか治療成績とか取り組みとか「学術的」なものばかりで、いささか浮いている感もありましたが、座長の先生から「こういう内容の学会もあるから、充分学術的ですよ」とサポートコメントをいただきました。恐れ入ります。


 医業収益を増やすということは、その分患者さんに経済的負担がかかってしまうことになるわけで、そこは気が引ける所です。ただ、世界に冠たる社会主義制度とも例えられる国民皆保険に守られた日本の医療を取り巻く環境(≒製薬・医療機器業界)は欧米型の資本主義であり、高度な医療技術・物品を導入するためには一般の企業同様に設備投資など相応にかかってしまいます。また、先ほども触れましたが高精度照射は治療内容の品質がより高く準備にも手間暇を要する分、1回単価が割高に設定されています。
 「収益」とか「採算」などという文言にはいささか抵抗もありますが、病院経営も正直ボランティアだけでは成り立たないところがありますし、ここはどうしても無視できません。

 今回は発表時間の制約で収益面のみとなりましたが、来年のフォーラムでは支出や労働力、各機器の売り上げ状況なども含めた評価を発表するつもりです。

 ざっとシミュレーションしてみると今の所黒字のようだし、「儲かりそうだから、さらに良い装置を買ってください!」って病院の上層部にアピールするために…不謹慎ですか?申し訳ございません。


 「よい」医療を取り入れるのって、お金がかかるんだよなぁ。

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【2014/02/16 14:00】 | 放射線治療:よもやま話
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