先日、地元の「〇×看護ケアセミナー」に私も参加してきました。同時間帯の他会場ではうちの病院の先生方もご発表される講演会が2つもあり、苦渋の選択でしたが。
座長の先生による基調講演のあと、某がんセンターがん放射線療法看護認定看護師さんの教育講演「放射線治療に伴う副作用マネージメント」と、国立がん研究センター中央病院アピアランス支援室長である野澤さんの特別講演「がん治療に伴う外見変化と患者サポート」の2講演。どちらも私にとって大変興味深いタイトルでしたが、内容も期待通り、いや以上で、他会場を裏切った甲斐(?)がありました。m(_ _)m
某がんセンターさんは昨年うちの施設に導入した高精度放射線治療装置と同系の装置をすでにフル稼働させていることで有名だったので、何名かのスタッフと一緒に一度施設見学をさせていただいたことがあります。そのおかげもあって、うちの装置も順調に稼働しております。改めてこの場をお借りして御礼申し上げます。
ご講演では、先日投稿したセツキシマブと放射線治療の併用時の副作用対策など、大変参考になるお話をいくつも伺えました。やはりセツキシマブと放射線治療の同時併用は皮膚炎や粘膜炎が強く出るそうです。私の初期臨床経験とほぼ一致…
放射線皮膚炎に対するケアって、私の知る限り診療エビデンス(科学的証拠)があるようであまりありません。日本人への対応については特に(現時点では国がん東病院単施設PhaseIIだけ?)。
皮膚炎が出現した時に使用する軟膏類は何がベストなのか?治療開始時から軟膏類を塗布すべきなのか?使うとしたらどのタイミングでどんな薬剤を使うのがいいのか?一般的なスキンケアとしてパンフレットや教科書に記載されていることも、実は昔からの慣例や口コミだったり(私もきちんと確認できてません…)、正常人用のスキンケア(も明確なエビデンスがあるようでないらしい…)を病状や治療の副作用で傷ついた部分にそのまま当てはめていいものかは疑問だったり、そしてそのやり方も施設毎で異なっていたり、と。
もちろん「証拠がない≠効果がない」なのですけれど、なんとなく(?)行っている放射線治療の支持療法って少なくないような気がします。
その後の懇親会では地元の認定看護師さんたちを交え、いろいろ有意義なお話ができました。で、結局は「現状ではまだ検討すべき事項が多いですよね」ってまとめ(で、終わってはいけないのでしょう…)。
野澤さんのアピアランス支援(ケア)のお話も目から鱗の内容がたくさんありました(以下、「 」内は私が講演をメモした言葉です)。
「身体の痛みよりも、外見の変化のほうが患者に苦痛をもたらす」
アピアランス(appearance)とは、顔つき・容貌など患者さんの外見のこと。がん治療によって身体の変化や症状が現れると、仕事や学校への影響がでたり、生活の変更を余儀なくされることがあります。
がんの治療に伴う外見の悩みに対処して患者さんの『生きる』を支える部門がアピアランス支援センターだそうです(国立がん研究センター中央病院アピアランス支援センターHPより)。
http://www.ncc.go.jp/jp/ncch/consultation/appearance.html
野澤さんによると、外見に関するケアの方法も十分なエビデンスというものがないそうです。患者さんに「勉強しすぎた医療者がケアを押しつけたり、一般論ばかりで逆に悩ませたりするケースがある(私の解釈)」とも話されていました。
そもそもその情報、元はどこから発信されたものなのか?エビデンスはあるのか?その人にはあてはまる情報とは何か?「業者さん目線で商品紹介をしていないか?」…放射線皮膚炎ケアのお話とかぶります。
「患者さんの目線と医療者の目線を持ったアピアランス支援を」…すべての医療にも通じることですね。
日本では診療報酬上の特典は(まだ)ないようで、これからという領域だと思いますが、「患者さんの目線からは」とても大切な部分だなと改めて感じました。うちの病院にもできるといいなあ。
良いセミナーでした。
座長の先生による基調講演のあと、某がんセンターがん放射線療法看護認定看護師さんの教育講演「放射線治療に伴う副作用マネージメント」と、国立がん研究センター中央病院アピアランス支援室長である野澤さんの特別講演「がん治療に伴う外見変化と患者サポート」の2講演。どちらも私にとって大変興味深いタイトルでしたが、内容も期待通り、いや以上で、他会場を裏切った甲斐(?)がありました。m(_ _)m
某がんセンターさんは昨年うちの施設に導入した高精度放射線治療装置と同系の装置をすでにフル稼働させていることで有名だったので、何名かのスタッフと一緒に一度施設見学をさせていただいたことがあります。そのおかげもあって、うちの装置も順調に稼働しております。改めてこの場をお借りして御礼申し上げます。
ご講演では、先日投稿したセツキシマブと放射線治療の併用時の副作用対策など、大変参考になるお話をいくつも伺えました。やはりセツキシマブと放射線治療の同時併用は皮膚炎や粘膜炎が強く出るそうです。私の初期臨床経験とほぼ一致…
放射線皮膚炎に対するケアって、私の知る限り診療エビデンス(科学的証拠)があるようであまりありません。日本人への対応については特に(現時点では国がん東病院単施設PhaseIIだけ?)。
皮膚炎が出現した時に使用する軟膏類は何がベストなのか?治療開始時から軟膏類を塗布すべきなのか?使うとしたらどのタイミングでどんな薬剤を使うのがいいのか?一般的なスキンケアとしてパンフレットや教科書に記載されていることも、実は昔からの慣例や口コミだったり(私もきちんと確認できてません…)、正常人用のスキンケア(も明確なエビデンスがあるようでないらしい…)を病状や治療の副作用で傷ついた部分にそのまま当てはめていいものかは疑問だったり、そしてそのやり方も施設毎で異なっていたり、と。
もちろん「証拠がない≠効果がない」なのですけれど、なんとなく(?)行っている放射線治療の支持療法って少なくないような気がします。
その後の懇親会では地元の認定看護師さんたちを交え、いろいろ有意義なお話ができました。で、結局は「現状ではまだ検討すべき事項が多いですよね」ってまとめ(で、終わってはいけないのでしょう…)。
野澤さんのアピアランス支援(ケア)のお話も目から鱗の内容がたくさんありました(以下、「 」内は私が講演をメモした言葉です)。
「身体の痛みよりも、外見の変化のほうが患者に苦痛をもたらす」
アピアランス(appearance)とは、顔つき・容貌など患者さんの外見のこと。がん治療によって身体の変化や症状が現れると、仕事や学校への影響がでたり、生活の変更を余儀なくされることがあります。
がんの治療に伴う外見の悩みに対処して患者さんの『生きる』を支える部門がアピアランス支援センターだそうです(国立がん研究センター中央病院アピアランス支援センターHPより)。
http://www.ncc.go.jp/jp/ncch/consultation/appearance.html
野澤さんによると、外見に関するケアの方法も十分なエビデンスというものがないそうです。患者さんに「勉強しすぎた医療者がケアを押しつけたり、一般論ばかりで逆に悩ませたりするケースがある(私の解釈)」とも話されていました。
そもそもその情報、元はどこから発信されたものなのか?エビデンスはあるのか?その人にはあてはまる情報とは何か?「業者さん目線で商品紹介をしていないか?」…放射線皮膚炎ケアのお話とかぶります。
「患者さんの目線と医療者の目線を持ったアピアランス支援を」…すべての医療にも通じることですね。
日本では診療報酬上の特典は(まだ)ないようで、これからという領域だと思いますが、「患者さんの目線からは」とても大切な部分だなと改めて感じました。うちの病院にもできるといいなあ。
良いセミナーでした。
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