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放射線治療にたずさわっている赤ワインが好きな町医者です。緩和医療や在宅医療、統合医療にも関心があります。仕事上の、医療関係の、趣味や運動の、その他もろもろの随想を不定期に更新する予定です。
 ここ数日、病院機能評価審査で、何となく落ち着かない空気が院内に漂っています。


 日本医療機能評価機構のHPによると、病院機能評価とは医療を見つめる第三者の目がはいること、つまり病院が組織的に医療を提供するための基本的な活動 (機能) が適切に実施されているかどうかを評価する仕組みだそうです。評価調査者 (サーベイヤー) が中立・公平な立場にたって、所定の評価項目に沿って病院の活動状況を評価し、一定の水準を満たしていると認められた病院が「認定」となります。認定病院は、地域に根ざし、安心・安全、信頼と納得の得られる医療サービスを提供すべく常日頃努力している病院であると言え、すでに全国の病院の約3割が認定されているんだそうです。
http://jcqhc.or.jp/works/evaluation/advantage.html

 今日は午後一番からうちの病棟で審査があるというので、私もいろいろな業務を前倒ししたり先送りしたりで、少しドキドキしながら待機していました。いざ始まると、病棟内の設備関係のチェックやら書類の確認やらで私の出番は無し。続いて行われたカルテチェックも同じ病棟の外科系がターゲットで私の出番は無し。約2時間、審査を傍から眺めてました。
 ある審査官の方が「ゴミ箱が多いですね」とか「看護目標の張り紙は医師などとの多職種共同という記載のほうがいいですね」とかいろいろ指摘されていて、「なるほど、そういうチェックも大事なんだ」と教えていただきました。看護師さんたちもティッシュボックスの置き場所とか、カルテの配置とか、顔マスクのつけ方とか、かなり気を使っていました。見た目は大事ですから。

 結局、私は何もすることがなく、暇でしたがホッとしました。でも、この審査で落とされるべきなのは、外見ではなく、指示やらカルテ記載やらシステムやらがあまりに不備だったりではないのかな?
 ちなみに、私が以前非常勤で診療支援した施設で、入院してから退院するまで手術記録以外「全く」カルテ記載がないという某診療科がありました。放射線治療の診療をするのに看護記録だけが頼りでした。入院してから初めての記載が「患者死亡」だった(1ヶ月以上入院している患者さんのカルテ)診療科もありました。
 そういう施設が落とされるなら納得できますが、実際はどうなのでしょう?


 病院機能評価って、取得していたからといって今のところは病院の収益向上には直接つながらず、経営面では「あります」と標榜することで世間的に病院のステータス≒コマーシャルになる(だけの)ようです。この前FBやブログで触れた専門医や学位(医学博士)のように、足の裏の米粒≒食えないけど取らないと気持ち悪いものといったのと近いことなのかもしれません。
 
 ただ、第3者の体系的な審査が入ることで、現状の病院を客観的に把握できたり、具体的な改善目標の設定をすることで自己反省や改善の良ききっかけづくりになったりはします。以前所属した施設で受けたISO審査の時も、審査官の方々に「こういうのを、うまく利用して病院を改善すればいいんですよ。それが目的なのです」と直接アドバイスを受けたことがあります。

 学生の時の試験勉強のような駆け込み詰め込み準備をするのではなく、本質的なシステム改善につなげるように活用すべきなのでしょう。

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【2013/01/24 00:40】 | 医療全般
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