fc2ブログ
放射線治療にたずさわっている赤ワインが好きな町医者です。緩和医療や在宅医療、統合医療にも関心があります。仕事上の、医療関係の、趣味や運動の、その他もろもろの随想を不定期に更新する予定です。
 前回投稿から1か月以上経過…

 田舎の町医者なのに先月は毎週のように学会や研究会で遠出出張がありました(留守番の先生、申し訳ございません)。リアルタイムに日記を書かないと記憶が薄れてしまうけれど先送り、そろそろ旬が過ぎそう(というか記憶の限界)なので備忘録がてら久しぶりの投稿です。

 
 先月の12~13日に東京で開催された第38回日本頭頚部癌学会に私も参加してきました。そして今回は珍しく演題発表までしちゃいました。
 それはさておき、今回もっとも気になっていたのが、「臨床使用が始まって1年経過した頭頸部がんに対するセツキシマブと放射線治療の同時併用療法(以下、セツ照射)、各施設からどのような臨床報告がなされるのだろうか」という点。ブログで勝手に(3)まで書いておりましたし。

 2日間にわたった学会で、セツ照射の発表は口演、ポスターをあわせて10演題以上もあり、気づけばうちの病院に所属されていた先生も演題発表をなさっていました。
 特に初日のBRT(Bio-Radiation療法)セッションに多くが集中していたので、もちろん私も聴講。
 
 事前に演題の抄録集に(行きの電車の中で)目は通していたので心の準備はできていたのですが、各施設の報告はどれも私の予想通り…いや、それ以上だったかな。
 放射線治療との併用で起きるセツ自体の皮膚炎上乗せ効果はもちろんのこと、大半の施設の報告で提示された粘膜炎などの写真も、私が診察した数例の患者さんたち同様にかなり症状が目立つもの(Grade3以上)ばかりでした。症例によってはBRT終了後数週間も症状が遷延するらしいですし。

 多くの症例を治療している頭頸部がん治療で有名な大規模施設では、治療中の皮膚ケアや栄養管理などいわゆるがんの支持療法がチームとして組織として治療早期からしっかり対応されています。そんな施設ですら(だから?)、粘膜炎がひどいBRTの栄養管理には胃瘻造設が必要といった報告が続きました。
 標準治療である抗がん剤(シスプラチン)と放射線同時併用の支持療法と何ら変わらないじゃないですか!

 また、大変気になったのが以前のブログにも書いた間質性肺炎の副作用でした。まだ多くの施設の発表がおよそ10例前後の初期経験でしたが、命にかかわる間質性肺炎症例との報告がちらほら。全部あわせた頻度としてはそれなりの症例数になります。
 放射線治療との併用例で多いような個人的印象もありましたが、因果関係あるのだろうか?

 当初「副作用が少なくて抗がん剤ができない高齢者を含めた患者さんに使いやすい」という触れ込みとはかなりかけ離れた初期臨床報告ばかりでした。

 そういえば先日、私が乗り合わせたある乗り物の車中で、後ろに座っていた某有名大学と某がんセンター頭頚部外科の中堅先生方の雑談がたまたま聞こえてきました(耳をダンボにはしてましたけど…)。
 「高齢者のBRT、全身管理が大変だし投与しにくいよね」
 「高齢者のBRT、安全性の確認が全然足りないよね」

 同意見です。高齢者への「安易な」セツ照射同時併用はすべきではないと個人的には思っています。


 放射線治療との併用では頭頸部がんが初めての国内承認だし、各施設での市販後調査や副作用に対する啓蒙をもっとしっかりしたほうがいいのではないのかなあ?

 セツの開発治験などを実施されてきたご経験豊富な施設の先生方は、どのようなお考えでいらっしゃるのだろう?

関連記事
スポンサーサイト




【2014/07/09 20:10】 | 放射線治療と薬
トラックバック(0) |
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック