今日は日本医学放射線学会の地方会があり、私も口演発表をしてまいりました。
演題名は「自力移動困難な照射症例に対する身体苦痛軽減目的の乗せかえ装置付き車椅子」
長ったらしい演題名ですがこれで充分な要約ともいえたので、思い切って文字はほとんどなく画像だらけのスライドにしてみました。私の人生の中で最も文字数の少ない発表でした。
実は先日、ある発表(MEDプレゼンってやつ)を聴きに行き、スライドに文字がなくても語り方やボディーランゲージで充分にプレゼンとなるなと改めて意識し、ちょっと真似してみようかな~と思いまして。
でも、「お前、スライド作り、手抜きしただろ!」って指摘を受けそうで、あえて自分から前振りで発表の冒頭で「手抜きなし(?)」の予防線を張っておきました(笑)
ボディーランゲージはこっ恥ずかしく結局できませんでした…
ということで、***以下に演題抄録として以前提出したものを少し改変して転載いたします。
*********************************
車椅子を利用する照射患者さんが段差と高さのある放射線治療寝台へ移動する際、診療放射線技師さんや看護師さんらが患者さんの身体を支えて介助することがあります。
痛みなどがんの諸症状を発症していたり、脳こうそく後遺症などの合併症があったり、抗がん剤治療などで多くの点滴をつけていたりと、車椅子から自力移動困難な場合が少なくなく、また介助による転倒や骨折などのリスクは現場スタッフを悩ませる問題点の一つでもあります。
また、病棟スタッフも人員不足でベッドのままの移動でなく車椅子に乗り換えて治療室まで移動せざるを得ない場合があります。
患者さんにとっては痛かったり辛かったり、スタッフにとっても支えが不安定で心配だったり力が必要だったり、筋骨隆々の男性技師さんならまだしもかよわき女性の若い技師さんや看護師さんだと業務とはいえ男性患者さんの身体を抱きかかえながら移すことにいささか抵抗があったりもします。
そのような患者さんに対し毎回の放射線治療そのものに伴う負担を改善する方策として、患者さんに過度の負担を与えず医療スタッフの労力軽減にも効果があるとして介護分野などで利用されている「乗せ換え装置付き車いす」(HS-300、㈱いうら社)を今年の3月にうちの病院で導入してみました(写真)。
http://www.iura.co.jp/products/hs300/index.html
この機器の最大の長所は、車いす(坐位)からストレッチャー(臥位)にゆっくりと形が変わり、付属の繰り出しベルトで苦痛が少なく治療寝台や病室ベッドに乗せかえが安全に楽にできる点です。若い放射線技師さんから「くるまいすとれっちゃー」というわかりやすい呼び名をつけてもらいました(でもスタッフ全員がそう呼んでくれるわけではありません…)。
これまでに骨転移そのもので移動が難しい患者さんと脳こうそく後遺症で半身不随の患者さんと脳腫瘍で体調不良の患者さんの放射線治療にくるまいすとれっちゃーを使用しましたが、ご利用いただいた患者さんからは「楽に放射線治療が終われました」というお言葉をいただきました。
車いすの患者さん全員に必要というわけではないでしょうが、安全安楽に放射線治療を行うための有効な補助具としてこれからも活用したいと思っています。
**********************************
今回の発表後、フロアから「普通にベッド移動でもいいのでは?」的な質問がありました。
たしかにその通りで、うちの病院でも実際多くの入院患者さんはベッドで臥床したまま移動してきます。しかし、ベッドのままで院内移動や待機というのは「重症感があって抵抗がある、恥ずかしい」という患者さんのご意見もあります(以前からそんな話を看護師さんたちから伺っていました)。
病棟看護師さん的にもマンパワーが不足しがちな要素です。でも、くるまいすとれっちゃーなら看護助手さんやお付き添いの方でも治療室まで比較的楽に連れていただくことができます。外来通院で車椅子移動を要する患者さんでも、くるまいすとれっちゃーが役に立つ方はいそうです。
他の用途として病室から他科の外来診察に行く時も、ベッド移動でなく車椅子移動のほうが外来の待合スペース的に便利です。治療台に限らず、病室ベッドから車椅子移動も危険を伴う恐れがあります。
安全安楽な小道具がいろいろあるって良いと思いません?
さらにちょっと改良するともっと使い勝手がよくなりそうなのですが、それはこれからの課題です。どこかの研究開発費、獲得できないかなあ?
おかげさまで12月の日本放射線腫瘍学会でもポスター発表として演題採択されました。文字ばかりでごちゃごちゃは避け、「私の人生の中で最も文字数の少ないポスター発表」にしたいと思います。
手抜きをするつもりではございません!
演題名は「自力移動困難な照射症例に対する身体苦痛軽減目的の乗せかえ装置付き車椅子」
長ったらしい演題名ですがこれで充分な要約ともいえたので、思い切って文字はほとんどなく画像だらけのスライドにしてみました。私の人生の中で最も文字数の少ない発表でした。
実は先日、ある発表(MEDプレゼンってやつ)を聴きに行き、スライドに文字がなくても語り方やボディーランゲージで充分にプレゼンとなるなと改めて意識し、ちょっと真似してみようかな~と思いまして。
でも、「お前、スライド作り、手抜きしただろ!」って指摘を受けそうで、あえて自分から前振りで発表の冒頭で「手抜きなし(?)」の予防線を張っておきました(笑)
ボディーランゲージはこっ恥ずかしく結局できませんでした…
ということで、***以下に演題抄録として以前提出したものを少し改変して転載いたします。
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車椅子を利用する照射患者さんが段差と高さのある放射線治療寝台へ移動する際、診療放射線技師さんや看護師さんらが患者さんの身体を支えて介助することがあります。
痛みなどがんの諸症状を発症していたり、脳こうそく後遺症などの合併症があったり、抗がん剤治療などで多くの点滴をつけていたりと、車椅子から自力移動困難な場合が少なくなく、また介助による転倒や骨折などのリスクは現場スタッフを悩ませる問題点の一つでもあります。
また、病棟スタッフも人員不足でベッドのままの移動でなく車椅子に乗り換えて治療室まで移動せざるを得ない場合があります。
患者さんにとっては痛かったり辛かったり、スタッフにとっても支えが不安定で心配だったり力が必要だったり、筋骨隆々の男性技師さんならまだしもかよわき女性の若い技師さんや看護師さんだと業務とはいえ男性患者さんの身体を抱きかかえながら移すことにいささか抵抗があったりもします。
そのような患者さんに対し毎回の放射線治療そのものに伴う負担を改善する方策として、患者さんに過度の負担を与えず医療スタッフの労力軽減にも効果があるとして介護分野などで利用されている「乗せ換え装置付き車いす」(HS-300、㈱いうら社)を今年の3月にうちの病院で導入してみました(写真)。
http://www.iura.co.jp/products/hs300/index.html
この機器の最大の長所は、車いす(坐位)からストレッチャー(臥位)にゆっくりと形が変わり、付属の繰り出しベルトで苦痛が少なく治療寝台や病室ベッドに乗せかえが安全に楽にできる点です。若い放射線技師さんから「くるまいすとれっちゃー」というわかりやすい呼び名をつけてもらいました(でもスタッフ全員がそう呼んでくれるわけではありません…)。
これまでに骨転移そのもので移動が難しい患者さんと脳こうそく後遺症で半身不随の患者さんと脳腫瘍で体調不良の患者さんの放射線治療にくるまいすとれっちゃーを使用しましたが、ご利用いただいた患者さんからは「楽に放射線治療が終われました」というお言葉をいただきました。
車いすの患者さん全員に必要というわけではないでしょうが、安全安楽に放射線治療を行うための有効な補助具としてこれからも活用したいと思っています。
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今回の発表後、フロアから「普通にベッド移動でもいいのでは?」的な質問がありました。
たしかにその通りで、うちの病院でも実際多くの入院患者さんはベッドで臥床したまま移動してきます。しかし、ベッドのままで院内移動や待機というのは「重症感があって抵抗がある、恥ずかしい」という患者さんのご意見もあります(以前からそんな話を看護師さんたちから伺っていました)。
病棟看護師さん的にもマンパワーが不足しがちな要素です。でも、くるまいすとれっちゃーなら看護助手さんやお付き添いの方でも治療室まで比較的楽に連れていただくことができます。外来通院で車椅子移動を要する患者さんでも、くるまいすとれっちゃーが役に立つ方はいそうです。
他の用途として病室から他科の外来診察に行く時も、ベッド移動でなく車椅子移動のほうが外来の待合スペース的に便利です。治療台に限らず、病室ベッドから車椅子移動も危険を伴う恐れがあります。
安全安楽な小道具がいろいろあるって良いと思いません?
さらにちょっと改良するともっと使い勝手がよくなりそうなのですが、それはこれからの課題です。どこかの研究開発費、獲得できないかなあ?
おかげさまで12月の日本放射線腫瘍学会でもポスター発表として演題採択されました。文字ばかりでごちゃごちゃは避け、「私の人生の中で最も文字数の少ないポスター発表」にしたいと思います。
手抜きをするつもりではございません!

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