唐突ですが、こうみえて実は私、女性の涙に弱いんです。最近も外来診療でそんな機会を3度経験いたしました。
その1
これまでの手術や放射線治療などで皮膚の創や色の変化が(あくまで医者目線ですが少し)残ってしまった女性患者さん。「こんな姿になってしまうなんて…」と涙を流されました。
上品なご婦人で、旦那さんも相当な役職につかれています。これまでいろいろ悩まれて治療を選択され、私が担当だった放射線治療前のご説明でもその後の影響について長い時間をかけていろいろ相談しました。
しかしいざ目に見える影響が残ってしまうことは「想像できませんでした」。
治療後の個々の正確な容姿を事前に映像でお示しすることは残念ながらまだ無理です。だからといって、治療前の説明で(もっとグロイ)副作用の映像を全員にお見せすることが良いとは正直思わないのですが…。
治療開始時の同意書に副作用の説明文が書いてあっても、なるべく普通の言葉でお伝えするよう心がけても、放射線治療そのものを経験したことのない一般の方がいきなり専門的な内容を「理解」するのはなかなか難しいようです。まして、がんという病状を知ってしまった後ですから、普段通りに冷静に話を聞ける状況ではないでしょうし。
「身体の痛みよりも、外見の変化のほうが患者に苦痛をもたらす」。以前にこのブログで引用させていただきました。アピアランスケアで「隠す」ことはできても消えない心の傷。
http://mccradonc.blog.fc2.com/blog-entry-79.html
『か〇は女性の命』、デリカシーに欠ける私にはいまだ難しい領域です。
その2
進行がんで完治は難しい女性患者さん、初診でご相談中に「どうもありがとうございます」と涙を流されました。
今の所、なんの症状もなくお元気、頭も聡明なご高齢の方です。
遠方のご家族が他院での特殊治療を積極的に勧めていますが、ご本人は乗り気ではありません。治療をするとそれなりの副作用がでそうですが、病気が縮小・消失する可能性もなくはないです。そして、他院で治療した後の不安もありました。
(症状が出てからの)緩和的放射線治療も含め時間をかけお話を伺うと、少し安心されたのかお付き添いのご婦人とお二人で(たぶん)感謝の涙がこぼれてきました。本当にただお話を聞いていただけで(少しだけ私もお話しま)したが、飛び入り受診で最後の外来患者さんだったこともあり、ゆっくりお話をする時間が確保できたのもよかったかもしれません。
辛い気持ちはたくさんあるでしょうから不謹慎なのですが、正直私も嬉しかったです。
実は昔はなかったのですが、齢を重ねてきたからかこういう時たまに「もらいそう」になってしまうことがあります…
その3
がんの緩和的放射線治療の患者さんの準備中、奥様とこれからの相談をしたら「もう自宅に戻したくない」と涙を流されました。
長い夫婦関係や闘病介護はいろいろ大変だったとのことで、今回の入院を契機に気持ちが解放されたようです。お話をしばし伺いました。一通りお話をされた後は笑顔に。
でも患者さんはできれば自宅に帰りたい。
その後も奥様とお話をしてもやはり気持ちは変わらず、お互いの気持ちのズレを修正するのはかなり敷居が高そうです。がん緩和ケアチームなど多職種が関わり、より良き方向を今も模索中です。
外来診察室などでご対面中に眼がうるうるされている方は(男性も)少なくないです。診察後に別のところで涙を流される方々もすごく多いことと思います。感情に流されないよう気をつけているつもりです。もちろん男女差別をするつもりなど毛頭ございません。
でも、こうみえて実は私、女性の涙に弱いんです。
別の形で私自身が本当に泣かされたことも何度かあります。そのお話はまた別の機会に…
その1
これまでの手術や放射線治療などで皮膚の創や色の変化が(あくまで医者目線ですが少し)残ってしまった女性患者さん。「こんな姿になってしまうなんて…」と涙を流されました。
上品なご婦人で、旦那さんも相当な役職につかれています。これまでいろいろ悩まれて治療を選択され、私が担当だった放射線治療前のご説明でもその後の影響について長い時間をかけていろいろ相談しました。
しかしいざ目に見える影響が残ってしまうことは「想像できませんでした」。
治療後の個々の正確な容姿を事前に映像でお示しすることは残念ながらまだ無理です。だからといって、治療前の説明で(もっとグロイ)副作用の映像を全員にお見せすることが良いとは正直思わないのですが…。
治療開始時の同意書に副作用の説明文が書いてあっても、なるべく普通の言葉でお伝えするよう心がけても、放射線治療そのものを経験したことのない一般の方がいきなり専門的な内容を「理解」するのはなかなか難しいようです。まして、がんという病状を知ってしまった後ですから、普段通りに冷静に話を聞ける状況ではないでしょうし。
「身体の痛みよりも、外見の変化のほうが患者に苦痛をもたらす」。以前にこのブログで引用させていただきました。アピアランスケアで「隠す」ことはできても消えない心の傷。
http://mccradonc.blog.fc2.com/blog-entry-79.html
『か〇は女性の命』、デリカシーに欠ける私にはいまだ難しい領域です。
その2
進行がんで完治は難しい女性患者さん、初診でご相談中に「どうもありがとうございます」と涙を流されました。
今の所、なんの症状もなくお元気、頭も聡明なご高齢の方です。
遠方のご家族が他院での特殊治療を積極的に勧めていますが、ご本人は乗り気ではありません。治療をするとそれなりの副作用がでそうですが、病気が縮小・消失する可能性もなくはないです。そして、他院で治療した後の不安もありました。
(症状が出てからの)緩和的放射線治療も含め時間をかけお話を伺うと、少し安心されたのかお付き添いのご婦人とお二人で(たぶん)感謝の涙がこぼれてきました。本当にただお話を聞いていただけで(少しだけ私もお話しま)したが、飛び入り受診で最後の外来患者さんだったこともあり、ゆっくりお話をする時間が確保できたのもよかったかもしれません。
辛い気持ちはたくさんあるでしょうから不謹慎なのですが、正直私も嬉しかったです。
実は昔はなかったのですが、齢を重ねてきたからかこういう時たまに「もらいそう」になってしまうことがあります…
その3
がんの緩和的放射線治療の患者さんの準備中、奥様とこれからの相談をしたら「もう自宅に戻したくない」と涙を流されました。
長い夫婦関係や闘病介護はいろいろ大変だったとのことで、今回の入院を契機に気持ちが解放されたようです。お話をしばし伺いました。一通りお話をされた後は笑顔に。
でも患者さんはできれば自宅に帰りたい。
その後も奥様とお話をしてもやはり気持ちは変わらず、お互いの気持ちのズレを修正するのはかなり敷居が高そうです。がん緩和ケアチームなど多職種が関わり、より良き方向を今も模索中です。
外来診察室などでご対面中に眼がうるうるされている方は(男性も)少なくないです。診察後に別のところで涙を流される方々もすごく多いことと思います。感情に流されないよう気をつけているつもりです。もちろん男女差別をするつもりなど毛頭ございません。
でも、こうみえて実は私、女性の涙に弱いんです。
別の形で私自身が本当に泣かされたことも何度かあります。そのお話はまた別の機会に…
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